新入社員がお金を手に入れる方法を伝授!『入社一年目のお金の教科書』田口智隆


 どうして、こんなことに……。私は頭を抱えた。貯金通帳には、もう僅かな金すらも残っていない。

 

 

 現実がドアを叩く音がする。こんなはずではなかったのだ。私はもう、終わりだ。私は力なく天を仰いだ。涙が頬を伝い、落ちていく。

 

 

 小さい頃から親にはいい大学に通って大企業に就職することこそが最高の人生に繋がると言われていた。

 

 

 私にとってはそれがすべてだった。最高の人生。当時の幼い私の心は、その言葉の輝きに魅了された。

 

 

 いい大学に通うためには優秀な成績を残さなくてはならない。私は一心不乱に勉学に励んだ。

 

 

 友人からの遊びの誘いもすべて断った。将来に目を向ければ、そんな暇はないのだと考えていた。

 

 

 成果はすぐに数字となって現れ始めた。先生からの評価に親が喜ぶ姿を見て、やはり間違ってはいないのだと確信を抱いた。

 

 

 以来、一切の脇目も振らず、私は黙々と机に向かった。クラスメイトたちとの交流は必要としなかった。彼らが自分の最高の人生を妨げることに気づいていたからだ。

 

 

 やがて、気が付けば私は国内でも有数の大学に入学していた。しかし、まだ油断はできない。いい大学に入れたからといっていい企業に就職できるわけではないのだ。

 

 

 しかし、とうとう長年の辛苦が実を結ぶ時が来た。誰もが名前を知っているような大企業への就職が決まったのだ。

 

 

 入社してすぐは慌ただしく舞い込んでくる慣れない仕事に奔走することとなった。毎日が風のように過ぎていく。

 

 

 しかし、その成果は貯金通帳の上に現れた。そこには、今まで手にしたこともないような金額が刻まれていたのだ。

 

 

 それを見た瞬間、私の中で何かのタガが外れた。

 

 

 私は今まで一切の楽しみを断って生きてきた。ただ、最高の人生だけを求めて未来を見据えていた。

 

 

 しかし、本当は友人たちと遊びたかったのだ。ノートとペンを放り出して、校庭でサッカーをしたかった。カラオケにも行きたかった。

 

 

 もう、いいのではないか。いい大学を出て、大企業に就職する。もう私は最高の人生の条件は満たした。ならば、もうやりたいように生きてもいいのではないか。

 

 

 そう考えた私は今までの我慢を解き放つかのように散々遊んだ。同僚と夜遊びに明け暮れ、散財を繰り返した。

 

 

 一方で仕事では真面目で優秀な社員として身を粉にして働いた。そして、その対価を娯楽としてプライベートで得る。

 

 

 すべては上手く循環していたはずだった。私はそう思っていたのだ。散財が収入の額を、いつの間にか上回るまでは。

 

 

 貯金額は見る見るうちに減っていき、借金の額が増えていった。しかし、散財をやめられない。

 

 

 気がつけば、私は膨大な借金を抱えていた。幼い頃から夢見て、一度は手にしていたはずの最高の人生が目の前で崩壊していく。

 

 

 私は膝をついた。私はもう、終わりだ。思わず呟いた。過酷な現実がドアを開けて近づいてくる。

 

 

学校で教わらないお金の教育

 

 私はほうと息を吐いた。ようやく借金を返済し終えたのだ。今まで自分の背中にのしかかっていた重りが取れたような、清々しい解放感があった。

 

 

 あれだけ大きく膨らんでいた借金を完済し終えたとは、今でも我ながら信じられない。もう人生も終わりだと思っていたのが嘘のようだ。

 

 

 きっかけは数少ない友人から借りた『入社一年目のお金の使い方』という本だった。

 

 

 最初は半信半疑であった。しかし、実践してみると、みるみるうちにお金が貯まっていった。

 

 

 不思議だった。書かれていたのは、当然だろうともいうべき簡単な内容だったはずなのだ。

 

 

 しかし、それだけを意識するだけでも大きな変化があった。わかっていたつもりでも、かつての私はまったくわかっていなかったのだ。

 

 

 無知とは怖ろしいものである。時にそれは人生という道のりを険しい岩山へと導くのだ。

 

 

 しかし、私は今回のことで学んだことがある。それは、どれほど苦境に立たされても、取り返すことはできるということだ。

 

 

 実際に、私はもう無理だと思っていたほどの借金を返済することができた。あの時に諦めていれば、こうはならなかったろう。

 

 

 生きて、前さえ見ていれば何とかなるのだ。大切なのは、問題に対して正面から向き合うことなのである。

 

 

 そうすれば、自分が今まで知らなかったことを学べるだろうから。私は改めて『入社一年目のお金の使い方』を見つめた。

 

 

 貸してくれた友人のことを思い浮かべる。彼女をお礼がてら食事にでも誘おうか。最高の人生へと続く扉が、私を待っていた。

 

 

お金と上手に付き合うには

 

 入社一年目のお金との付き合い方が、その後の人生を決めます。お金の正しい扱い方を学んでいるかどうかで、人生に大きな差が生まれてしまいます。

 

 

 お金のストレスフリーとは、具体的に給料額を上回る不労所得があることだと定義しています。

 

 

 お金の正しい使い方を知らないまま社会生活を送っていると、しなくてもいい苦労をすることになります。

 

 

 若いうちから適切なお金の扱い方を身につけている人は充実した生活を送る一方で、確実にお金も増えていきます。

 

 

 お金との正しい付き合い方は、学校では教えてくれません。誰もがお金の教科書を開くことなく世に出ていくことになります。

 

 

 しかも、お金の正しい扱い方は時代とともに変わっていきます。昔の常識が将来の非常識となることは珍しくありません。

 

 

 お金が足りないという不満を常に抱えている人は、給与が上がっても文句を言うでしょう。

 

 

 なぜなら、彼らは稼ぐことに執着しているからです。

 

 

 稼ぎにこだわる人に限って、収入が増えるのに比例して支出も増えていきます。

 

 

 収入をいかに増やすかばかりを考えて稼いだお金とどう付き合っていくべきかを意識しないと、稼いだ分を全て浪費する結果となってしまいます。

 

 

 お金と上手に付き合える人は稼ぐこと以上に貯めること、使うこと、増やすことを意識して、自分なりのルールを徹底しています。

 

 

 同じ年収でもこれら3つの視点の有無が資産額に大きく関係しているのです。

 

 

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