お金に困る人生を変える一冊！『幸せな経済自由人の金銭哲学マネー編』本田健

　私は自分のがま口の財布の中身を覗き込んだ。そこには小銭が数枚とくしゃくしゃの紙幣が一枚入っていた。

　私は思わず肩を落とした。私の全財産はたったのそれだけだったのだ。

　これでどうやって生きていけばいいのだろう。私は頭を抱えた。胸中には最悪の選択肢すらも浮かんでくる。

　私が勤めていたのは俗に言うところのブラック企業というやつである。多くの同僚が明日になると消えたりなんかは日常茶飯事だ。

　しかし、働く時間に応じてそれなりに給料はもらえていたため、私はそこまで頓着しなかった。

　問題は、私の身体がもたずにとうとう倒れてしまったことにあった。病院では過労と診断され、休職を余儀なくされた。

　私はその間の給料が出るものと思っていたのだが、渡されることはなかった。もちろん、病院の診療代もない。

　そのため、私の持っていた貯金を切り崩して診断してもらうこととなった。生活していくには十分なだけのお金があったはずだが、すぐにその余裕はなくなった。

　今は休職しており会社には行っていないため、その間の給料は出されない。その二重苦が財布の貧困を招いていたのである。

　もしも復帰しても、私はこのまま暮らしていくのもやっとの薄給を必死に稼いで生きていくだけなのだろうか。

　ならば、私の人生の意味は果たしてどこにあるというのか。自問自答するたびに答えは出ず、ただ虚しさだけが募っていった。

　どうにかしなければならない。私は考えた。現状をどうにかしなければ、この生活苦を打破することはできないだろう。

　しかし、どうすればいいのか、私にはわからなかった。

　ふと、ふらりと立ち寄ったコンビニで目に止まった本を手に取ってみる。『経済自由人』という言葉に不思議と惹かれたのだ。

　ページをめくってみる。その瞬間、私の人生は変わった。

経済自由人に

　私は読んでいた本のページを閉じて、立ち上がった。座っていた椅子がぎしりと音を立てて軋む。

　あの頃とは違い、最近は腹が膨れてきた。そろそろ健康のためにも運動を始めるべきかもしれない。

　こうして健康にまで思いを巡らすことができるようになったのは私の生活に余裕ができたからだろう。

　今の私は経済的苦境に追い詰められるような生活はしていない。財布どころか銀行に溢れんばかりのお金が入っている。

　仕事はやめた。周りからは随分と止められたものだが、決意を覆すことがなくて本当に良かったと思う。

　おかげで、今の私は仕事に追われることもなく、好きなことを自由にできる生活を送ることができている。

　あの時に本を読んで以来、私は自分の考え方を根底から変えた。今まで常識だったものをひっくり返すことにしたのだ。

　そうしたら、不思議なことに世界も今まで見ていたものと姿を変えた。白黒だったものに色がついたのだ。

　私はかつて明日も知らぬほどに金がなかった。そんな私が今のようになるとは誰も思えなかったろう。

　金持ちになることは誰でもできる。しかし、金持ちでない人々の常識が蔓延っているからこそ、金持ちになる人が少ないのだ。

　常識の壁をぶち破る。それが自分を変えるための第一歩だ。さもなくば、先の未来に一歩たりとも進むことはできないだろう。

　さて、思い立ったが吉日か。どこかのジムにでも通って運動をするかな。私はさっそくパソコンの電源をつけた。

　どんな人にもお金持ちになれる可能性があります。自分の人生を変えると決めれば、いつでも可能です。

　この世にはお金の法則があります。法則に従った人たちはお金持ちになり、そうでない人はお金に縁のない生活をしています。

　お金持ちになれるかどうかはその人の考え方、行動習慣によるのです。考え方、生き方によってお金持ちになるか、貧乏になるかが決まります。

　お金持ちになる人はお金持ちになるべく、考え、行動しています。お金に縁がない人は、お金に縁がなくなるような考え方、行動をしているからお金に縁がなくなるのです。

　お金持ちになるために必要なのは好奇心です。好奇心は刺激される限り、一生を通じて大きなエネルギーになります。

　現代人の多くは好奇心を忘れてしまっています。しかし、好奇心に身を任せれば、ワクワクする人生を送れて、必然的に成功を招くでしょう。

　お金持ちになるためには勇気も必要になります。駄目かもしれなくてもやってみる勇気がなければ何も始まりません。

　成功するために才能は必要ありません。才能はやっていくうちに勝手に開発されていくものだからです。

　自分の未来や可能性に好奇心を持てる人が最後には成功を手にすることができるのです。

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