謎の襲撃者から家族を守るために『零崎軋識の人間ノック』西尾維新
負けたのが、悔しいのか。父は私の背中を向けたまま、そう言った。彼がこちらを見ないのが、今は何よりありがたかった。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
負けたのが、悔しいのか。父は私の背中を向けたまま、そう言った。彼がこちらを見ないのが、今は何よりありがたかった。
私はこの国の王である。全ての者が私の足もとに跪いていた。何もかもが、私の思うがままだった。
「君は、普通が嫌いなのかい?」
私は普通になりたかった。教室で馬鹿みたいに笑っているような、そこら辺にいる普通の人間に。
世の中には物語が横溢している。そして、それは何も文字や映像として現れているものばかりではない。
「戦いたくない、なんて言えないよな」
「もしも、ずっと生きていける身体にしてあげるって言われたら、どうする?」
先生から先日のテストが返される。その時に向けられた呆れたような視線が今でも忘れられない。
「もし、わしの味方になれば、世界の半分をやろう」
私は、なんて、とんでもないことを。先生からの話を聞きながら、私は頭を抱えた。