SNS時代の必読書『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ』Jam


 言葉は強い力を持つ。落ち込んだ人を救い、愛を囁くこともあれば、無数の見えないナイフとなって、前触れもなく心を突き刺してくる。

 

 

 ネットが発展していくにつれて、私たちのコミュニケーションは大きく形を変えた。

 

 

 中でもSNSは、それまでにない新しいコミュニケーションだろうね。顔も見たことのない、名前も知らない、そんな人と、話をすることができる。

 

 

 電子の海には、愛の言葉も、中傷や罵倒も、あらゆる言葉が無数に飛び交っている。人々はその中で、時に癒され、時に傷つきながらも、平然とした顔を装って立っていた。

 

 

 滑稽だよね。なんていっても、私もその中のひとりだ。自分が傷ついているなんて思いもしなかったし、SNSのない生活なんて考えられないくらいには没頭していた。

 

 

 SNS上でやり取りしていた人たちのことをリアルの友人と同じくらい、あるいはそれ以上に大切にしていて、何をする時でも手元の液晶画面を見つめていた。

 

 

 あれはそんなある時のこと。SNS上で仲がよかった子が、突然、私にひどいことを言った。

 

 

 詳細は秘密。言わないけれど、とにかく、私の努力を丸ごと否定するかのような、そんな言葉だった。

 

 

 私は大きなショックを受けて、思わず固まった。彼女がどうして急にそんなことを言ったのかわからなかった。

 

 

 嫌われた? 私はいつの間にか、彼女に嫌われるようなことをしたのか? 私の発言を遡ってみようか。

 

 

 いや、そもそも、彼女は私に悪意を持ってその発言をしたのかな。ただの他愛ない世間話のひとつかもしれない。彼女に悪意がなかったとしたら、私のこの悲しみはどこへ行けばいいのだろう。

 

 

 いいや、とにかく謝ろう。きっと私が彼女に悪いことをしたんだ。いや、でも、そうじゃないとしたら、私が謝ったら引かれるだろうか。

 

 

 私はそんなことを数日もつらつらと思い悩んで、夜もまともに寝れないほどだった。

 

 

「どうしたの?」

 

 

 私の目の下にある隈が気になったのだろう、そう聞いてきたのは私の友人だった。

 

 

 私は理由を説明した。それはもう、愚痴に近かったかもしれない。自分の不平不満を交えながら、事情を説明した。

 

 

 SNSの友だちがひどいことを言ってきたこと。そして、そのせいで数日間眠れないほどに悩んでいること。

 

 

 私の言葉を聞いた彼女は、呆れかえったような視線を私に向けて、そして言った。

 

 

「たぶんそいつ、今ごろパフェとか食ってるよ」

 

 

「は?」

 

 

 思わず私が訊き返したのも無理はないだろう。けれど、彼女はそのまま話し続けた。

 

 

「たとえばさ、お前がSNSで誰かを批判する時とか、どう? 真剣に向き合って批判してる? たぶん、そうじゃないよね」

 

 

 SNSはそもそも、時間を潰すために始めた。それがいつの間にか、私の時間を食い潰している。

 

 

「SNSは相手の顔が見えないし、どれだけSNS上では友だちでも、本当に友だちだなんてほどにのめり込まないよね。だから、どんな暴言でも簡単に書ける」

 

 

 ネット弁慶、とかいう言葉があるよね。リアルでは大人しいのに、ネットでは批判や中傷を繰り返している人のこと。匿名だからこそ、SNSはそんなことができる。

 

 

 普段なら、きっとそんなことはしないだろうね。けれど、匿名だということがブレーキを鈍らせる。人に無差別に悪意を流して、でも、そんなことをちっとも不思議とは思っていない。

 

 

「だから、たぶん、お前が悩んでいる間、向こうではパフェとか食ってるかもよ。お前に言った暴言なんてきれいに忘れて」

 

 

 彼女のその言葉で、私は肩の荷がすっと軽くなったような気がした。そうかもしれない。顔も名前も知らない相手の言葉に、そこまで乱されることもない。

 

 

「そもそも、嫌なら見なけりゃいいじゃん、SNS」

 

 

「……ごもっとも」

 

 

 以来、私はSNSをあまり見なくなった。たまに見ると、誹謗中傷が相変わらず飛び交っている。私はそのたびに、私を救ってくれた友人のあの言葉を思い出すのだ。

 

 

 余談だが、実は、友人のその言葉は、彼女が読んだ本のタイトルらしい。Jamという人が書いた本だ。この前、偶然書店で見かけて、思わず買ってしまった。

 

 

 そこには、パフェの話だけじゃない。人間関係の悩みから助けてくれるような、著者の助言や考え方が書かれている。

 

 

 どうやら、タイトルにもなっている言葉は、著者が実際に友人から言われた言葉らしい。彼女はそれで楽になったんだとか。四コマ漫画も描かれているから内容もわかりやすい。

 

 

 その著者が出した本を友人が読んで、その友人がまた私を助けてくれたのだから、ちょっと不思議な縁もあったものだ。

 

 

 最後に一つだけ、私が思ったことがひとつある。猫のイラスト、かわいいよね。

 

 

人間関係の悩みを晴らしてくれる言葉

 

「お芝居と同じように、人生にも上手な人と下手な人がいるのよ」

 

 

 そんな名言があります。

 

 

 なぜこんなに生きるのが下手なのだろうって落ち込んだ数は計り知れません。でも、そういう人ってたくさんいると思います。

 

 

 お仕事、友人関係、恋人や家族のこと。最近はSNSが普及したことで、今まではなかったような悩みも増えたんじゃないでしょうか。

 

 

 この時代を生きている人の悩みって、昔の何十倍も多いんじゃないでしょうか? そりゃあ気持ちだってぼこぼこ凹みます。

 

 

 私ってすごく悩みが多い人間でした。どうにかその辛さから逃れたくて、いいろいろな方法を試してはみたんですが、なかなかスッとできず。

 

 

 ある時、人間関係で嫌なことがあって悩んでいた私に友人が言ったのが、この本のタイトルにもなっている「多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ」でした。

 

 

 その瞬間、いろいろなことが頭の中を駆け巡って、光が差すみたいにハッとして、ストンと腑に落ちて納得して、悩むのをやめちゃいました。

 

 

 この本には、嫌な気持ちを引きずらないための考え方のコツが、全部で六十四個書かれています。

 

 

 この本を読んでモヤモヤした気持ちが少しでも晴れて、自分を守るお役に立てれば嬉しいです。

 

 

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