記憶を失った少女が学園でかけがえのないものを手に入れるラブコメディ『ルシィ・ブランシェットは思い出した』さき
ああ、そうだ、思い出した。私はようやく自分の中に追いついてきた記憶に彼を見出して得心した。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
ああ、そうだ、思い出した。私はようやく自分の中に追いついてきた記憶に彼を見出して得心した。
また、今日もいる。窓から外を見下ろして、電柱の陰にぼうっと佇んでいる男を見た。
幽霊って、どんな感じなんだろう。誰もが考えるそんな疑問の答えを、私は自分の身を以て知ることとなった。
私の目の前に座った骸骨の男は死神と名乗った。店員さんを呼んでカプチーノを頼んでいる。ブラックのコーヒー飲めないんですよ、と恥ずかしげに言...
私はふと気づいてしまった。ここが乙女ゲームの世界だということを。そして、私がその悪役だということを。
彼女は悪女だと誰もが言っていた。誰もが彼女を怖れ、誰もが彼女の悪い噂を囁いていた。
『廃棄世界物語』は私を奮起させるきっかけになった。文明が滅亡し、法律が意味を為さなくなった世界において私は弱者で、すべてに怯えて生きてきた。けれど、その作品は本当に大切なことを教えてくれた。誇りを持って、何もかも失っても自分だけはなくさないように。
さき先生の『ふたりぼっちの聖騎士団』は、私にとって学びを得るためのものだった。伝統だから。昔から続けてきたから。みんながやっているから。そんな理由で彼女はいじめられていた。その光景を見て、私は疑問を覚える。その伝統は、本当に正しいのだろうか、と。
さき先生の『重装令嬢モアネット~かけた覚えのない呪いの解き方~』を読んで私は思わず涙を流しました。彼女は私と同じ。自分を隠すために鉄鎧を纏ったモアネットと顔を隠すために仮面を被った私。その本は私が人間になるための方法を教えてくれたのです。