余命一年の少女の願い『君の膵臓をたべたい』住野よる
そのタイトルを見た時、私はまず、その表紙に手を伸ばすのを一瞬躊躇った。それでも読むことにしたのは、表紙がタイトルに似合わず穏やかだったか...
そのタイトルを見た時、私はまず、その表紙に手を伸ばすのを一瞬躊躇った。それでも読むことにしたのは、表紙がタイトルに似合わず穏やかだったか...
図書館で見つけた『小説の自由』という本を私が手に取ったのは、私が本好きであること以上の理由はなく、それだけで十分である。
『くらやみに、馬といる』を読んだ時、私はどうにも共感することができなかった。
激しい雨が降り続けている。テレビで見ると、見知った光景が、見覚えのない光景に変貌していた。電話が鳴り響く。どうして、私はあの場所にいない...
白黒の人間が行き交う街中を、ひとつのレンズが覗いていた。その視線の先には、ひとりの、口髭を生やした男がいる。
このまま時間が止まってしまえばいいのに。教室の隅でひとり、私はそんなことを思った。
『世界名作劇場』で、『フランダースの犬』のアニメを見たことがある。今より何年も昔のことだ。
船で通学していた、と言うと、よく驚かれる。私自身、自分が学生だった頃、船での通学が決して好きではなかった。
幼い頃、私は絵本に書かれている物語を、本当にあったことだと信じていた。それが虚構だと知った今でも、時折、本当にあったのではないかと心の片...
シャッターの目立つ商店街の端、緑の屋根の小さな建物。看板には古めかしい店名が書かれている。角を曲がった時にすぐ目に入るその場所が、私の近...