子どもになってしまった名探偵『名探偵コナン』青山剛昌
ソファに腰かけて新聞をめくる。今日も依頼人は来る気配がない。新聞に載っている記事は今日も平和だ。つまらん。
ソファに腰かけて新聞をめくる。今日も依頼人は来る気配がない。新聞に載っている記事は今日も平和だ。つまらん。
朝起きて、身支度をし、働いて、帰宅して、家事をして、眠る。毎日同じように繰り返される日々。
私、宇宙人なんですよ。といっても、地球で生まれたんですけどね。家族の中で、私だけが宇宙人なんです。
「君は、『ゲド戦記』を知っているかね?」
「いったいどうやって成功したんですか?」
僕は、どうしても忘れられない物語があった。思い出すのは、燃え盛る木の杭と、オレンジ色の髪。つぎはぎの顔。
「ほらほら、楽しいなあ。なあ、お前も楽しいだろ? 楽しいって言えよ!」
「あなた、世の中の全部が気に入らないんだわ」
父、母、私。三人で食卓を囲む。楽しげに、日々のことを語り合う、仲睦まじい家族。私はその笑顔の下で、気持ち悪さを必死に押し隠していた。
老人は、その一冊の本を殊更厳かに開いた。彼は知っていたからだ。その物語こそが、彼の敬愛するアーサー王の最後の一冊なのだと。