人生はひと言で決まる!『コメント力』斎藤孝
「大迫、半端ないって!」
「大迫、半端ないって!」
老人は一冊の本を手に取る。彼は少し悲しげな表情をした。その物語を読む時、老人の胸にはいつも、過去を思い出すような切なさが溢れるのだ。
僕が「大槻ケンヂ」という人の名前を、なんとなく目で追い始めたのは、高校生の頃であった。
老人はもうずっと、部屋にこもりっきりだった。本を読むのに夢中になっていたのだ。
「実は、借金があるんだ……」
息を吸い込むと、潮の香りが身体に染み渡るようだった。目の前に広がる海は、どこまでも青く、果てがない。
……太った、かな。ふと、クローゼットから見つけた懐かしい服を着てみて、私は愕然とした。
僕は思わずぞっとした。周りの彼らが僕に向ける、異常な視線に。まるで異邦人のようだ。こめかみを、一筋の汗が流れる。
善とは何か。悪とは何か。俺はずっと、そのことを考えていた。憎悪の顔で俺を見上げる民衆どもを見下ろして。
今朝、私の隣りで夢を語っていた青年が、今は、地に倒れ伏したまま、ぴくりとも動かない。