しぐさで人の心を惹きつけよう『しぐさの技術』荒木シゲル
「頑張れ!」私はその言葉が嫌いだった。他人の無責任な応援の言葉が、私には、堪えがたかったのだ。
「頑張れ!」私はその言葉が嫌いだった。他人の無責任な応援の言葉が、私には、堪えがたかったのだ。
こんな想い、捨てなければならない。私と彼は敵同士なのだから。いくらそう言い聞かせても、胸の鼓動は止まってくれなかった。
ひどい点数だな。私がそう呟くと、息子がぶすくれた表情でそっぽを向いた。けれど、黙ったままということは、息子自身もそう思っているのだろう。
私はぼんやりと頬杖をついて、窓の外を眺めた。この列車は、いつまで走り続けるのだろう。
いつからだろう。爪を噛む癖ができた。かりかり。かりかり。気が付けば、私はいつも爪を噛んでいる。
父親、というのは、いったいどんなものなんだろう。それは、僕が子どもの頃からずっと疑問に思い続けていたことだった。
なんだか、疲れたな、いろいろ。会社からの帰路をとぼとぼと歩きながら、私は思わずため息を吐いた。
子どもの頃、お気に入りのぬいぐるみがあった。かわいいクマのぬいぐるみ。私は名前を付けて、いつも抱きしめていた。
「もういい加減にして!」「それはこっちのセリフだ!」
今まで私は忠実な犬であり続けた。しかし、一度だけ、私は国に嘘を吐いたことがある。この書は、私の罪の吐露と認めてくれて構わない。