人見知りの少女が自分の運命に立ち向かう『RDG レッドデータガール』萩原規子
私の親は少し特殊な家業をしている。先祖から何代も続いてきた由緒正しい家業である。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
私の親は少し特殊な家業をしている。先祖から何代も続いてきた由緒正しい家業である。
「なあ、古典部に入らないか?」
私は扇風機の前にその身を横たえた。棒付きのアイスをシャリシャリかじりながら、畳の静かな香りを嗅ぐ。
「なあ、君、恋慕とは罪だ。そうだろう?」
「まだ結婚しないの?」 母からの結婚の催促も、もう聞き慣れたものである。私は良い相手がいないものだからと断った。
「つまり、僕のとっておきのプリンを食べた犯人は君ということさ」
幼い頃の私が愚鈍であったことを、私の今の姿から想像することは到底できないだろう。
「『少女地獄』という小説を読んだことがありますか?」
「乾杯」 チン、と金属質の高い音が鳴る。隣に座る美女はグラスを持ったまま、私の顔を見て微笑んだ。
「どちらへ、行かれるんですか?」 目の前に腰かけた女性が私に問いかけた。シックな色合いのワンピースがよく似合っている。どこかぎこ...