最強の吸血鬼と最初の眷族の哀しい過去『鬼物語』西尾維新
「何か、ぼくに隠していることが、あるんじゃないかな」
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
「何か、ぼくに隠していることが、あるんじゃないかな」
吾輩は狸である。名前はまだない。人間の姿で、日がな一日を気ままに過ごしている。
私には好きな人がいます。ずっと、ずっと、私は彼のことが好きでした。
彼女に『死神の精度』という本を借りてくるよう頼まれ、図書館に来た僕は、奇妙な男に話しかけられた。本を探すのを手伝ってくれたけれど、彼は「死神」のことを話し始める。その特徴は、僕が最近知り合った人に、どこか似ているような気がした。
高校に通っていた頃、クラスメイトにひとり、変わった子がいたことを、今もまだ覚えています。
「なあ、『力士シール』って知ってるか?」
「もしも、タイムマシンがあったら、何をしたい?」
父の部屋の掃除をしていると、古ぼけた奇妙な写真を見つけた。若かりし頃の父と、恥ずかしげに少し俯いた女性が写っている。
「あなたは、今まで生きてきた中で嫌な思い出とかは、ございませんでしょうか。いっそ、忘れ去りたいほどの」
私はメールに書かれた文面を見てため息を吐いた。そこに書かれているのは彼からの、どこか愛想のない文章。