時間なんてもう言い訳にしない『「時間がない」から、なんでもできる!』吉田穂波


なんということだろう。僕はカレンダーを見て絶望した。夏休みは残りたったの3日しかない。だというのに、僕の目の前にはまだまだほとんど手つかずの宿題が残っている。時間がなかった。

 

どうしてこんなことになってしまったのか。夏休みの間中、僕は一体何をしていた。いや、わかりきっている。ずっと遊び惚けていた。宿題のことなんて頭の中からすっかり消し去って。

 

その末路が、今目の前にある現実だった。とにかく早く取りかからなければ、絶対に終わらない。僕は内心かなり焦っていた。

 

今年の担任の先生は、厳しいと各生徒たちから恐れられている坂上先生である。先生に怒鳴られている自分を想像するだけで、身体が震えた。

 

とにかく、急がないと。気分はもう、懐中時計を持って走っている白うさぎみたいなものだった。急いで宿題を終わらせないと。面倒な宿題も、まだたくさん残っているのだ。

 

「いや、むしろもう、間に合わないんじゃないか。潔く諦めろよ」そう言ったのは、頭の中にいる悪魔の自分だった。

 

「だって3日だぜ、間に合わねぇって」

 

たしかにそうかもしれない。もはやこうなってしまっては仕方がない。今から怒られる覚悟をしつつ、残りの夏休みを全力で楽しむしか。

 

よしそうしようと頷いていると、もうひとり、羽の生えた天使の僕は姿を現した。

 

「いけませんよ。時間がないからと言って諦めるのは。全て自業自得じゃないですか。ここは甘んじて説教を受けるべき」

 

「いやいやいや」

 

「いやいやいや」

 

天使と悪魔は平行線だった。宿題をするべきか、それとももう諦めるか。そこへ、なんと第三者がやってきたのだ。それは、眼鏡をくいと上げた、現在の僕だった。

 

「実はこんな本があってね……」

 

天使も悪魔も、僕が持っている本の方を見た。その本のタイトルは『「時間がない」から、なんでもできる』と書かれていた。

 

天使と悪魔と僕は、そろって首をかしげた。「時間がない」からこそなんてもできる、なんてのは、むしろ全くの逆なんじゃないのか。

 

誰もがそう思っているのだけれど、読み進めていくうちに、まったく新しい見方ができるようになっていた。

 

その本の著者、吉田穂波さんは、三人の子どもを持つ母親でありながら、どうやってハーバード公衆衛生大学に入ることができたのだろう。そのことこそが、この本のテーマである。

 

僕たちは、今の世の中、常に何かしら急いでいる。気分なんてもう、懐中時計を持った白うさぎみたいなものだ。

 

スケジュールは分刻みでびっしりと決めつけられていて、起きてから寝るまでの間に空欄なんてひとつもない。

 

ましてや、子どもがいる、なんてことになると、わずかな時間を空けることさえ難しい。ただでさえ過密なスケジュールは、もはやないも同然。常に何かしていなければならなくなる。

 

それなのに、吉田先生はそんな状況でありながらハーバードに入学という偉業を成し遂げた。いったいどんな魔法を使ったのだろう。

 

先生は、この本の中で、「時間がなかった」からこそできたのだと、そう言っている。悪魔は嘲笑い、天使は首をかしげた。

 

ただ、読んでいくうちに納得する。「時間がない」時ほどいろいろなことがやりたくなる、という心境は、僕にも覚えがあったからだ。

 

つまり、「時間がない」状況は、それほど大きなエネルギーがある。そのエネルギーを最大限に生かすことができれば、「時間がない」という逆境はむしろチャンスになる、というのだ。

 

一分一秒の精度を高めることで一日の時間を二十四時間以上の濃度にまで高め、時間がない中でもやりたいことをする。この本は、そういうことを言っているのだった。

 

ふぅ、と読み終わった本を閉じて、僕ははっと時計を見る。気がつけば、今日という一日が過ぎようとしていた。

 

「おいおい、結局宿題できてねぇじゃん」

 

「いや、でもこの本が言うには、これこそチャンスでは」

 

「そうだな。時間がない時ほどエネルギーが湧く。なら、こんな宿題あっという間だよな」

 

僕は天使と悪魔に励まされて、よし、と拳を握った。とにかく一個ずつ、こなしていく。僕はようやく、宿題の山の麓へと足をかけた。

 

 

時間がないことをチャンスに!

 

2008年8月のアメリカ・ボストン。夫と三人の娘、私の両親と一緒に、私はボストン空港に降り立ちました。

 

三人の娘を連れてハーバード公衆衛生大学院に留学したというと、みなさんの第一声はほとんどが「留学準備はどうやったのですか?」です。

 

その秘訣はひと言でいうなら、困難な状況をすべて逆手にとったことでした。

 

「できない」ときほど、やりたくなる。このエネルギーを最大限に生かそう。「時間がない」というのは、何かを始めるチャンスです。

 

一分をどう過ごすか、一分の精度をどう高めるか、その一分をどう価値のあるものにするか。「時間密度」とでもいうべきそれらを高めることで、人はきっと一日二十四時間分以上生きられるのでは、と考えるようになりました。

 

日々の仕事や育児、家事に追われ、時間がないなかで、いかにして自分のやりたいことをやるか、そしてやり続けるか。

 

私にとってそれは、少し大げさにいえば、人生の扉を開ける鍵。私たちはいつだって、人生の次の扉を開ける術をもっています。

 

そう信じて、私が体験を通して学んだ人生のヒントを余すところなくお伝えできたら、と考えています。

 

 

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