時代の流れとともに変化していく現代の妖怪『日本現代怪異事典 副読本』朝里樹
「いやあ、肩身が狭い時代になったもんだよねえ」 蛇の目のかたわらに開いた長い舌の隙間から深いため息を吐き出して、大きな瞳をしょん...
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
「いやあ、肩身が狭い時代になったもんだよねえ」 蛇の目のかたわらに開いた長い舌の隙間から深いため息を吐き出して、大きな瞳をしょん...
本屋に行くと、私はまず真っ先に小説のコーナーに向かう。そこで目を皿にして本棚を見つめ続けている。
「今、授業でやってるやつさあ」 「あ、なんだっけ、『走れメロス』だっけ」 「あれ、あたし、好きじゃないんだよね。なんか暑苦...
時は戦国時代。天下を争奪しあう群雄割拠の時代である。一国を治める戦国大名たる某も、その尻馬に乗らねばならぬ。
私は本を読むのが好きである。文字に目を走らせ、現実から乖離し、紙の上に広がる空想世界に身を投じることが至福の瞬間なのだ。
吾輩は猫である。名前はまだない。猫の目から見た人間とはなんと皮肉であることか! 吾輩は猫である。名前はまだない。書生の手によって家族...
「昨日さ、『芸能人格付けチェック』見たんだよ」
「お前は満足しているのか?」 目の前に座った悪魔が、私ににやにやと不気味な笑いを向けた。最近の悪魔はスーツにネクタイなのか。初め...
私は額縁の中に収められている写真をじっと見つめた。写真家であったという祖父が撮ってきたのだという写真だった。
私は激怒した。いや、これは怒髪天を衝くよりも悲しみに押し流されているのが正しかろう。