養老孟司先生と小島慶子先生の対談の記録『歳を取るのも悪くない』養老孟司 小島慶子
歳なんて取りたくない。ずっと、そう思いながら生きてきた。誕生日を迎える度に憂鬱になる。ああ、またひとつ、歳を取ってしまったのだ、と。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
歳なんて取りたくない。ずっと、そう思いながら生きてきた。誕生日を迎える度に憂鬱になる。ああ、またひとつ、歳を取ってしまったのだ、と。
「よろしくお願いします!」 新しく入社してきた女の子。元気よく挨拶する姿を見て、ああ若いな、と思う。そんな自分を自覚すると、私も...
年を取る、とは、果たしてどういうことなのか。祖父が亡くなった時、私はそんなことを思っていた。
どうしてこんなことをしなければならないのだろう。そんなことを思いながら、ずっと手を合わせて、祈るふりをし続けていた。
まるで足が棒のようだった。あんなに聞きたかった鳥の声も、あんなに見たかった新緑の木々も、もう何も目に入らない。
「大人になる」ってどういうことだろう。誕生日のその瞬間、ロウソクを吹き消しながら、そんなことを思っていた。
「ざまぁ」とは、「他人の不幸は蜜の味」を表す言葉である。「ざまぁみろ」の略語であり、ネットでは多用されている。
「真実を告げよ。貴様は、我が国の至宝である伊能図を国外に持ち出そうとした。間違いはないか」
働く、とは、いったい何だろう。僕たちはいったい、何のために働いているんだろう。
その男は、絵画の中からこちらを見つめている。彼の名を、フィンセント・ファン・ゴッホといった。