最初の前書きから、「あなたは今のままで完璧なのだ」と言われて驚いた。この本は今までの本とはどこか違う。そんなことを感じさせた。
今まで自己啓発本をいくつか読んできたけれど、前書きで言っていることは大体同じ。「あなたはダメだ。でも〇〇さえすれば必ず成功する!」のような意味の言葉。
わからないではない。自己啓発本はいうなれば、「今までダメだった自分を変える」ための本だ。だからまず、今までの否定から入る。
けれど、私はそれが嫌で仕方がなかった。どうしてお前ごときにそんなことを言われなければいけないのだ。お前は私のことなど何も知らないくせに。思わずそう思ってしまって、読むページも止まってしまう。
ジム・ドノヴァンとやらの、『何をしてもうまくいく人のシンプルな習慣』を会社の上司からおすすめだと借りた時も、正直そんなものだろうと思っていた。
それが最初のページから覆される。「あなたは完璧だ」と。「この本は自己改善のためのものではない」とすら書かれている。ここまで肯定されるのは初めてだった。
そのうえで、「さらに成長し発展していくための手引書だ」という。おまけに、少しページをめくると、「本書のすべてを疑え」と書かれていた。それにまた、驚かされた。
「俺の言うことを聞け。そうすればお前は上手くいく」「あなたはダメな愚図なんだから、黙って私の言うことを聞いておけばいいのよ」「お前は成功したいんじゃなかったのか」
一見、親身になって語り掛けてくる多くの本も、行間にはそんな罵倒の言葉が隠されているような気がした。それは信用しようとした本だからこそ、より深く私の心に突き刺さってきた。
言うことを聞かなかった時の最悪な未来を語ることで恐怖を煽り、洗脳していく。たとえただの本であろうとも、そこに記されている言葉は、現実の人間と何も変わらない。
「本書を疑ってかかれ」。皮肉にもその言葉は、私の中に信頼を抱かせた。選択肢をこちらに委ねている姿勢が、とても真摯に向き合おうとしていると考えたからだった。
では内容は、というと、これもまた面白い。見開きの一ページにそれぞれひとつのテーマについて書かれており、とても読みやすかった。
書かれていることも、常識を突き破るようなことばかり。けれど、「疑え」と言われているおかげで、不愉快な気分にもならなかったし、むしろ「なるほど」と思わされることが多かった。
自分の悪いところを直すのではなく、自分を成長させ、伸ばしていく。悪いところだけじゃなく、全体を。自分という存在自体を。
そうだ。自分は今のままでも十分。だけど、まだまだ成長ができる。自分の伸びしろは、こんなところで終わっていない。頑張ろうと思えた。
この本に書かれている「シンプルな習慣」は、ひとつひとつ、どれも今からできそうなほど簡単なものばかりだ。
自分でも今から実践してみよう。そう思えるような言葉がたくさんあった。
私たちは生きていく中で、様々なものに直面する。失業、離婚、コロナウイルス、戦争、死、愛。地位、お金。
私たちはそんな世の中を「複雑で難しい」と思い込んでいる。けれど、その実態は、そうじゃないんじゃないのか。
人生で大切なものって、実はものすごくシンプルなものでしかなくて、私たちが無理やり難しくし過ぎているだけなのではないか。そう感じた時、肩がふっと楽になったのを、よく覚えている。
成長と発展の手引書
これは自己改善のための本ではない。あなたは今のままで、今していることで、すでに完璧なのだ。しかし、さらに成長し発展していくことはできる。この本は、あなたの成長と発展のための手引書として書かれたものだ。
あなたは末永く、楽しくて豊かでエキサイティングな人生を送る権利がある。私は、エキサイティングな人生をあなたに提供できるなどと主張するつもりはない。
しかし、私を含め、数えきれないほど多くの人の人生の質を高め、人間としての潜在能力を最大限に発揮させるのに役立った考え方やテクニックのいくつかを分かち合おうと思う。
私の意図は、シンプルなテクニックをあなたと分かち合うことだ。それは簡単とは限らない。そもそも簡単であれば努力などはいらない。
本書に書かれている考え方を実践するには、かなりの努力が必要になるが、より幸福な人生が手に入るという見返りがある。努力するだけの価値のある結果が得られるのだ。
本書のすべてを疑ってかかること。何事もそのまま受け入れてはいけない。もし自分にとって正しくないと感じたら、その部分を無視すればいい。
しかし、この本の中の何かにピンときたら、それを自分のものにしてほしい。ここに書かれている考え方とともに働き、遊んでみてほしい。
エクササイズをやってみよう。時折、自分の進歩を計るために見直してみるといい。想像力を掻き立て、楽しもう。そして何よりも、自分に正直になってみよう。
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