最後の蝋燭を消した時、本物の怪異が現れる『百物語レストラン』松谷みよ子
小さな部屋に私を含めた四人が集まっていた。暗い部屋の中で、百本の蝋燭の灯りが、彼らの陰を浮き彫りにしている。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
小さな部屋に私を含めた四人が集まっていた。暗い部屋の中で、百本の蝋燭の灯りが、彼らの陰を浮き彫りにしている。
私は選ばれた。教師の隣りに立ち、正面を見据えると、多くの視線が私を突き刺した。
これは私が幼い頃の話である。幼い頃、私は山の上に棲む天狗と会ったことがあるのだ。
どこか遠くから犬の吠える声が聞こえた気がした。それはただの幻に過ぎないというのに。
「あなた、街から出た方がいいですよ」
私がその本を見つけたのは商店街の隅にひっそりと佇む、小さな古本屋であった。
「人間は蛇と話せない。そうだろ?」