驚愕の展開を見逃すな『殺人鬼フジコの衝動』真梨幸子
子どもの頃、お気に入りのぬいぐるみがあった。かわいいクマのぬいぐるみ。私は名前を付けて、いつも抱きしめていた。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
子どもの頃、お気に入りのぬいぐるみがあった。かわいいクマのぬいぐるみ。私は名前を付けて、いつも抱きしめていた。
「もういい加減にして!」「それはこっちのセリフだ!」
今まで私は忠実な犬であり続けた。しかし、一度だけ、私は国に嘘を吐いたことがある。この書は、私の罪の吐露と認めてくれて構わない。
目を閉じると、オラショの声が聞こえるような気がした。暗闇の中で浮かび上がる自らの信じる者に向かって、祈りを捧げる人々の声が。
暗闇の中でテレビを見ていた。カーテンの外から聞こえる近所のおばさんたちの声が、私のことを囁いているように聞こえた。
「くそっ、またやられた!」
「なんで! どうして私がクビなんですか!」
呼吸が苦しい。思わず胸を押さえた。額から汗が伝って、顎から雫となって落ちていく。視界が揺れて、ぐらりと世界が傾いた気がした。
この世界はシステムでできている。私たちはその世界を回す歯車のひとつとして、ただ無心に仕事だけをこなしていればいい。
私は愛国者です。僕がそう言った時、教室の空気が凍りついたような気がした。