八咫烏シリーズの一作目『烏に単は似合わない』阿部智里
私は悲鳴を上げる侍女をどこか他人事のように眺めていた。その手から私の食事となるべきだったものが床に散らばった。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
私は悲鳴を上げる侍女をどこか他人事のように眺めていた。その手から私の食事となるべきだったものが床に散らばった。
「なあ、古典部に入らないか?」
「つまり、僕のとっておきのプリンを食べた犯人は君ということさ」
「見よ。聞け。驚け。呆れよ」
私は本屋に並んだ本棚を眺めて、眉をひそめた。整然と立てられた本を指でなぞる。
「先生、事件です!」 私が事件の資料を片手に事務所に駆け込むと、椅子に座って珈琲を飲んでいた男が私に視線を向けた。私はきょとんと...
幽霊って、どんな感じなんだろう。誰もが考えるそんな疑問の答えを、私は自分の身を以て知ることとなった。
『アリス殺し』は私が大好きな作品だ。いつものお茶会。帽子屋がその本を持ってきていた。退屈しのぎに、誰が犯人なのか、謎解きしよう。いいわ。存分に語り合いましょう。私は小林泰三先生の大ファンなのだ。盛り上がっていくお茶会は、永遠に終わることはない。
日向夏先生の『薬屋のひとりごと』を読んで、私は実験や調合が大好きになった。そのおかげで入学することができた理系の大学で実験漬けの日々を送っていたけれど、極上の容姿を持つ男につきまとわれるようになってしまった。恋愛なんて、私はちっとも興味がないのに。