天才が集った孤島で巻き起こる密室殺人事件『クビキリサイクル』西尾維新
「やあ、君も来たのか」
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
「やあ、君も来たのか」
図書館塔には妖精が住んでいる。それは、まことしやかに噂される怪談のひとつだった。
おそるおそるフラスコを傾けて、中で揺れている透き通った液体を試験管の中に流し込む。
私には高校生の頃から夢がある。無数の本に潰されて最期を迎えたいという夢である。
鏡の中の世界、という別の空間の存在を、私は子どもの頃、たしかに信じていたものである。
壊れた人間なんてのは、一見すれば普通の人間と変わらない。けれど、たしかに何かがおかしいのだ。
「さて、この物語の犯人は、いったい誰だろうね」
「うわっ、次のテスト、数学だよ」
これで三人目だ。そして、四人目もまたすぐだろう。それが誰になるかは誰にもわからないけれど。
実在する小説から奇天烈な推理を繰り広げる冗談小説 氷沼家で事件が起こる。恋人の牟礼田からそう聞かされた自称探偵の奈々緒は事件を未然に...