身近な人の死と向き合う『キッチン』吉本ばなな
祖父が亡くなったときのことを今でも覚えている。母方の祖父は私の覚えのある頃にはもういなくて、私の知っている祖父はひとりだけだった。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
祖父が亡くなったときのことを今でも覚えている。母方の祖父は私の覚えのある頃にはもういなくて、私の知っている祖父はひとりだけだった。
「さて、それでは計画を詰めていこうか」
私は甘いものが好きである。ケーキやクッキーといった洋菓子も悪くはないが、風情のある和菓子もまた、好ましい。
私は学校の屋上に立っていた。吹きすさぶ秋口の強い風がコンクリートに寝そべる土埃を舞い上げる。
我が校には探偵部なる部活が存在する。所属している生徒も顧問の先生も何者かわからない、半ば都市伝説じみた存在である。
「電車の中ではいろいろなことがある」
人間とはつくづく不思議なものである。こうして人間の姿で世の中に溶け込んでいると、強くそう思う。
彼女は幼馴染だった。幼稚園の頃から同じクラスで、小学校、中学校といっしょだった。
1969年。かつて、活力溢れるこの年は、果たしてどんな出来事が起こったのだろうか。
「なあなあ、これって絶対UFOだよ、なあ!」