自分の未来を見通される怖ろしさ『占いレストラン』松谷みよ子
「あなた、街から出た方がいいですよ」
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
「あなた、街から出た方がいいですよ」
私がその本を見つけたのは商店街の隅にひっそりと佇む、小さな古本屋であった。
「人間は蛇と話せない。そうだろ?」
刑事だったら正義感が強いはずだ、なんて誰が決めた。コンビニ店員がみんなコンビニ好きとは限らないように、その職に就くのにこうでなければなら...
「本日のディナーは革靴のステーキでございます」
図書館塔には妖精が住んでいる。それは、まことしやかに噂される怪談のひとつだった。
おそるおそるフラスコを傾けて、中で揺れている透き通った液体を試験管の中に流し込む。
眺めているカルテの文字がぼやけている。机の上の珈琲を喉に流し込んで、襲い来る眠気を打ち払った。
私には高校生の頃から夢がある。無数の本に潰されて最期を迎えたいという夢である。
私は震える指先で、そうっとドミノを並べていく。連なっていく小さな板を倒さないように、一枚ずつ、一枚ずつ。