反撃の革命が始まる『図書館革命』有川浩
「いえ、結構です」
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
「いえ、結構です」
「『無人警察』って知ってる?」
幼い頃の私の一番古い思い出は、彼に頭を撫でられる記憶でした。その手がとても大きかったのを、よく覚えています。
その人と会ったのは、茹だるように暑い夏の日のことでした。その人は行き交っていく人たちの中で、どこかぼんやりと立ち尽くしていました。
幼い頃から私は写真に撮られることを苦手としていました。
「君は、驚かないんだな」
変身願望、というものがある。自分ではない他人になってみたいというものだ。
ビートルズの『ノルウェイの森』が誰もいない部屋に流れている。私は広すぎるソファに寝転んで、ぼんやりとそれを聞いていた。
あれは、いつのことだったろうか。私は失くしてしまった思い出を手繰り寄せる。
「偶然は人を無防備にする、っていう定説があってね」