日本人の幸福とは『空気を読む脳』中野信子
「では、誰か学級委員長を決めましょう」
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
「では、誰か学級委員長を決めましょう」
出来上がった料理を、フライパンから皿の上に盛り付けていく。完成したその料理を見て、私はそっと微笑んだ。
一定のリズムで刻まれる蹄の音。照りつける太陽に項を焼かれ、私は額から滑り落ちる汗を手綱を握った袖で拭った。
唐突に、ふと、疑問に思った。私が今飲んでいるこの飲み物は、いったい何なのだろうか、と。
蜂蜜のような明かりがカーテンの隙間から入り込む音楽室で、目を閉じてピアノを弾く彼女の姿を、ぼくは惚けたような表情で眺めていた。
社会は厳しい。税金は上がっていく一方。貯金はどんどん減っていく。金利なんてもう期待できないし、年金すらももらえるかどうかわからない。
私は幽霊の存在なんて信じていない。あんなのは、ただの、生きている残された人たちの心が生み出した妄想に過ぎない。
私はその本を手に取る前、そんなに怖くないだろうと思っていた。たかがストーカーなんて。怪物でも幽霊でもなく、所詮は人間じゃないか、と。
財布の中を見て、私は絶望した。お金がない。銀行の口座にもない。いつの間にこんなに減ったのか。
芥川賞受賞。その言葉に惹かれて、その本を手に取った。初めて読んだ時のことは今でも覚えている。あれは、そう、嫌悪だろうか。