真実はどこにある?『訪問者』恩田陸
ピンポーン……。玄関先からインターホンを鳴らす音が聞こえてくる。私は布団の中でびくっと肩を震わせた。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
ピンポーン……。玄関先からインターホンを鳴らす音が聞こえてくる。私は布団の中でびくっと肩を震わせた。
僕には兄がいる。二歳ほど年上の兄だ。もう長い間、僕と兄との間に会話はない。僕は兄のことが、たまらなく嫌いだった。
「何もしなくてもいいよ」
ああ、なんてことだ。私は頭を抱えた。このままでは歴史が変わってしまう。その時、果たして私の元いた時代はどうなるのだろうか。
ジュリエットとジュステーヌ。悪辣な姉は富と権力を手に入れて享楽に溺れた日々を過ごし、善良な妹は骨の髄まで食い尽くされた挙句に女囚の身に墜...
良くないこと、だということはわかっているのです。けれど、気が付けば、彼の姿を探している自分がいることを、私はどうしようもなく知ってしまっ...
衝撃だった。何だろう、このタイトルは。そんな荒唐無稽なことを、本気で言っているのか。その本を取ったのは、それがきっかけだった。
生きていくってことは大変よ。ままならないことばっかりなんだもの。ふと、そんな言葉が脳裏によぎる。誰の言葉だったっけ。
スーパーに並んでいる肉を、私は見下ろした。ふと、思う。よく考えてみれば、私はこの『肉』というものの正体を、何も知らないのだ。
先日、部屋を掃除していると、懐かしいものを見つけた。可愛らしい模様のレターセット。胸の中に、思い出が再生されていく。