プレイヤーからマネージャーに『リーダーの仮面』安藤広大
私が変わったのは、あの一冊の本との出会いが全てのきっかけだった。決して届かない壁に初めて出会い、もがき、力尽きて項垂れていたあの頃に、私は...
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
私が変わったのは、あの一冊の本との出会いが全てのきっかけだった。決して届かない壁に初めて出会い、もがき、力尽きて項垂れていたあの頃に、私は...
エェ……今宵はお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。それでは揃いましたことですし、始めていきましょう。
生まれてからずっと真面目に生きてきた。卑怯なことやずるいことが嫌いで嫌いで仕方がなかったし、そんなことをする奴らが全員許せなかった。その考...
「山猫軒へようこそいらっしゃいました。どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません。当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご...
名の刻まれた墓石を見下ろして、俺は思わずため息をついた。もう二度と会えなくなってしまった友人の影は、今も俺の周りにまとわりついている。彼を...
はっと飛び起きる。少し遅れて、自分が今さっきまで寝ていたことを思い出した。ほうと息を吐いて、今しがた見ていた夢を思い返す。窓の外はまだ暗か...
この春に入社してきた後輩が、仕事を辞めることになったという。それを上司から聞かされた時、私は愕然としてしばらく口が利けなかった。
毎朝、鏡を見るたびに不安になる。鏡に映る自分の顔が、虎になってやしないか、と。そう思うようになったのは、そう、あの作品に触れた、その時から...
子どもの頃、将来の夢を聞かれた時、僕はいつも言葉に詰まっていた。どうしてみんな、働くことが当たり前だと思っているのだろう。どうして、働きた...
妻が家を出ていった。俺はひとりきりになった居間でグラスを傾けながら、妻の最後の言葉を、頭の中で思い返していた。