健康寿命を延ばそう『老活の愉しみ』帚木蓬生
年を取る、とは、果たしてどういうことなのか。祖父が亡くなった時、私はそんなことを思っていた。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
年を取る、とは、果たしてどういうことなのか。祖父が亡くなった時、私はそんなことを思っていた。
「真実を告げよ。貴様は、我が国の至宝である伊能図を国外に持ち出そうとした。間違いはないか」
いったい、どうすればいいのだろう。私の右手から、電話が抜け落ちて床に落ちた。
「私は子どもの頃、大人よりも上手く絵が描けた。だが、子どものような絵を描けるようになるには、50年かかった」
チョークで黒板を叩く。白い粉がはらはらと舞った。淡々と教科書の内容を読み上げる。背後から聞こえる小さな笑い声を、聞こえないふりをしながら...
ああ、私の愛しい人。あなたはなんて愚かなのでしょうね。あなたは今も、私が何も知らないと、思い込んでいるのでしょう。
最初、そのタイトルを見た時、私の胸には一抹の反感が芽生えた。その反感が、むしろ私にその本を読ませたのだ。
「どうしてお前はこんな簡単なことができないんだ!」
悲鳴。恐慌。あまりの痛みに泣き叫ぶ姉に駆け寄る継母の顔は真っ青になっていた。ああ、駄目、駄目よ、私。そんなに口角を上げたら、気づかれちゃ...
「どうして勉強なんてしなくちゃいけないの。どうせこんなの勉強したって、何の役にも立たないのに」