自分を変えれば人生が変わる『「今すぐできない!」自分を変える本』斎藤茂太


 あとでやろう。今はちょっと、忙しいし。まとまった時間にまたやろう。そうしてまた僕は、先送りにした。

 

 

「忙しい」

 

 

 昔から僕は、その言葉を口癖のように繰り返していた。夏休みはたっぷり遊ぶのはいつものことで、終わりの頃になってようやく宿題に取り掛かるのがいつものことだった。

 

 

 やるべきことを後回しにする癖が僕にはあった。気が付いた時には、先送りにしたことは締め切りの直前に山のように高くそびえていて、手を抜いて終わらせていっても間に合わないことも多かった。

 

 

 でも、これも僕の性格だし。先生に怒られながら、僕はいつも内心でぶすくれてそんなことを呟いていた。

 

 

 その言葉通り、その性格は大人になっても変わらなかった。しがない一般企業に入社した僕は、先送りにして、怒られてばかりいる。

 

 

 こんな仕事なんてもう嫌だと思ったことも少なくない。思い出すのは、子どもの頃から僕が抱いていた将来の夢のことだ。

 

 

 僕は作家になりたかった。物語を書くことも好きだった。投稿した小説が絶賛されて、作家デビューする妄想をしては、にやにやと楽しんでいたこともある。

 

 

 けれど、実際に投稿したことはなかった。時間がなかったし。仕事を始めてからは、忙しくて書くこともできなくなっていた。

 

 

 やりたいことはいくらでもあった。もう、こんな働いてばかりの生活は嫌だった。でも、新しいことを始める時間なんてどこにもない。

 

 

 そうして、また僕は、先送りにするのだ。

 

 

 ある時、図書館をうろついていると、ふと、一冊の本が目に入った。『「今すぐできない!」自分を変える本』と書かれている。

 

 

 その瞬間、僕の脳裏に過去の自分の言動と現在の自分の状況が走馬灯のように駆け巡った。

 

 

 今すぐできない。そう叫んでいるのは、僕じゃないか。過去の自分を見て、僕は悶絶せんばかりだった。

 

 

 これは僕のための本だ。そう考えた時、僕の手はその本に伸びた。こんな自分を変えたかった。子どもの頃からの、「先送り」の呪縛から逃れたかったのだ。

 

 

 その本を手に、僕は貸出カウンターの方へと向かった。しかし、結局読み始めたのは、返却期限の一日前だった。いや、時間がなかったからさ、仕方ないよね、うん。

 

 

 ああ、またやってしまった。なんて頭を抱えながら、僕はその本のページをめくる。

 

 

 その本では、どうやら6つの章にわかれているらしい。意識、言葉、時間、モノ、ヒト、目標だ。

 

 

 そこで語られている内容は、簡単に実践できるもの、であるらしい。けれど、子どもの頃からの習慣になってしまっている僕には、ひどく難しく感じた。

 

 

 しかし、その本に書かれている一文が、そんな僕を勇気づけてくれた。「性格は変えることができる」と。

 

 

 今まで本気で変えたいと思ったことはなかった。先送りにしてしまうのは、仕方のないことなのだと。

 

 

 けれど、そうじゃないのだ。それは僕の、甘えでしかない。今の生活が嫌だと思っていても、自分が変わらないと、変えることなんてできないのだ。

 

 

 変わろう。僕は変わるんだ。とりあえず、明日から実践しよう。いや、明日はたしか忙しいから、明後日からだな、うん。

 

 

 そんなことを思っていた僕の目に、その本の最後の一文が飛び込んでくる。

 

 

「まさに、本書を読み終えたその瞬間から『今すぐできない』が試されている。リハーサルは終わった。さっそく実行に移そう!」

 

 

 僕は思わずドキッとした。なんてことだ。これじゃあ、僕は何も変わっていないじゃないか。

 

 

 明後日じゃない。明日でもない。明日って今さ。今すぐやるんだ。その日、その瞬間から、僕は変わった。

 

 

あなたが忙しいのはなぜ?

 

 あなたはこの一週間、どれくらい「忙しい」と口にしただろうか。忙しいという言葉は、嘘ではないだろう。それでは、あなたは忙しい「理由」について、考えたことがあるだろうか。

 

 

 忙しさには、理由がある。どうしてあなただけが、いつもドタバタと仕事に追われているのだろう。

 

 

 あなたが「忙しい」のは、やるべきことがあっても、それを『今すぐできない』という点に、原因がある。

 

 

 今すぐやればそれで終わるのに、どうしても先送りしてしまう。現在の忙しさは、過去のあなたが『今すぐできない』と先送りした、ツケなのである。

 

 

 よく、「性格は変えられない」という話を耳にするが、そんなことはない。

 

 

 もし、あなたが『今すぐできない』人だとしても、その性格をしっかりと自覚して、自分を変えていくための方法を知り、それを実践していけば、必ずテキパキとした人になれる。

 

 

 本書では、あなたの『今すぐできない』原因を探し、それを克服していくために、次の6ステップを用意している。

 

 

1.「意識」を変える

 

2.「言葉」を変える

 

3.「時間」を変える

 

4.「モノ」を変える

 

5.「ヒト」を変える

 

6.「目標」を変える

 

 

 世の中は『今すぐできない』人に溢れている。「そのうちやろう」と先送りして得することなど、ひとつもない。

 

 

 本書によって、ひとりでも多くの方々が『今すぐできない』のサイクルから抜け出すことを、心より願っている。

 

 

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