お金持ちになるために必要なこと『お金がお金を生むしくみの作り方』ロバート・キヨサキ


「ふふふ」貯金通帳を眺めていると、思わず笑みが零れる。立ち並ぶ数字、数字、数字。それがだんだんと増えているのを見ると、まるでゲームをしているかのような楽しみがこみ上げてくるのだ。

 

昔から、私の家は貧乏だった。お店で見かけたオシャレな服も、みんなが持っているおもちゃも、私は何も買えなかった。そんな自分の家が、私は嫌で嫌でたまらなかった。

 

だから、私が貯金を始めたのは、うんと小さい頃からだった。お小遣いやお年玉も使わずにコツコツと貯め続けて、その額をメモに書いていたし、しばしばそれが合っているか確認していた。

 

大人になって働き始めてからは、その額が一気に増えるようになる。仕事はきつかったけど、その苦労もお金に変わるのだと思えば我慢することができた。

 

この習慣を続けていれば、いつか私もお金持ちになれる。私はそう信じて疑わなかった。その幻想を打ち砕いたのは、同僚のひとことだった。

 

「このままじゃあなた、一生お金持ちにはなれないよ」

 

思わず言葉を失った。彼女はこの仕事に就いてから仲良くなった友人だ。

 

「お金のため」を公言している私と同じように、彼女もまた、職場では浮いている存在だった。私と同年代の若さにしては、彼女からはハングリーさというか、必死さのようなものがないのだ。どこか泰然としている、不思議な雰囲気の女だった。

 

そんな彼女との仲が、彼女のひとことでひりつくのを感じた。自分の夢を否定された苛立ちが、胸中にふつふつと湧き始める。「あんたに何がわかるわけ?」

 

「貯金してちゃだめだよ。お金は働かせて増やさないと」

 

彼女のそのひとことで、私の怒りは途端に霧散して、呆然とした。お金を働かせて増やす? どういうことだろう。

 

「つまりさ、投資で増やすんだよ」

 

「投資? そんなの、一か八かのギャンブルでしょ」

 

そんなリスクを負うよりも、堅実にお金を貯金していく方がいいに決まっている。そう答えると、彼女は首を横に振った。

 

「貯めても家賃とか食費とか税金でとられていくだけだよ。しかも、途中で怪我なんてして働けなくなったら、収入が入ってこなくなるうえに多額の治療費で減る一方になっちゃうし」

 

彼女のその言葉に、私は「たしかに」と思わず納得する。今の私は健康だけど、この先何が起こるかわからない。働けなくなった時にもお金を増やすことができる手段があれば。

 

私が言うと、彼女は「内緒ね」と人差し指を唇に当てて、こっそりと、私に見せてくれた。それは彼女の貯金残高だ。コツコツと貯金してきた私よりもはるかに多いその額に、私は目を瞠った。同じ仕事をしているのに、どうしてこんなにも差があるのだろう。

 

「私、投資で増やしてるの。お金でお金を増やすしくみをつくれば、あなたもこれくらい増やすことができるようになるよ」

 

「で、でも、そんなの上手くいくわけないじゃん。私、投資なんてやったことないよ」

 

ううん、と少し考えた後に、彼女は一冊の本を手渡してきた。ロバート・キヨサキという人の本で、『お金がお金を生むしくみの作り方』と書かれている。

 

「これを読めばわかるはずだよ。どうやったらお金でお金を増やすしくみをつくることができるか。どうして貯金することがダメなのか」

 

いつ返してくれてもいいから、と言って、彼女と別れた。家に帰ってから、私はその本の表紙を眺める。

 

ここに至ってもなお、私は半信半疑だった。もしかして、彼女に騙されているのではないか。この本も正しいかどうかなんてわからないじゃないか。

 

そんな疑いを胸に、私は騙されないぞという決意を固めて、そっとそのページを開いた。途端、私の目の前には、私が知らなかった世界が広がっていった。

 

 

お金を働かせる

 

今、世界中のお金は「流動性のワナ」にハマっている状況だ。皆の問題を解決する方法はひとつ、お金をもっと一生懸命に働かせるにはどうしたらよいかを考えて行動することだ。

 

これが「ファイナンシャルIQ」だ。お金は1か所にとどまらせていてはいけない。働かさないことには、新たな価値を生まない。

 

日本人はお金をたっぷり持っているのに、経済はまだ悪くなっているし、失業率も上昇傾向にある。その原因は、皆がお金を貯めているからだ。

 

私にとって「ファイナンシャル・インテリジェンス」とは、いかにしてあなたからお金をもらって私自身のために働かせるかってことなんだ。

 

私は、向こう2年間は、誰でも大金持ちにもなれるし、貧乏にもなれる時期だと考えている。お金も、他人任せにしないのがポイントだ。

 

銀行に開く穴には2種類ある。ひとつは「資金不足」という穴で、もうひとつは「資金流出」という穴だ。世界的にマネーがだぶついている。市民が銀行からお金を引き出さないようにしておきたい。それが、「流動性のワナ」といいう現象だ。

 

「流動性のワナ」とは、もっとはっきり言うと、「キャッシュ・イズ・トラッシュ」という状態のこと。お金がどこへもいかずに止まっていたら、それこそ死んでしまうよ。

 

金持ちになる方法はたくさんあるが、金持ちを目指すなら、お金がお金を生むしくみを作り、それをうまく機能させることが、私のおすすめする方法だ。貯めるだけではいけないということを忘れないでほしい。

 

そして、FOCUS。これが、金持ちへの第一歩だ。さあ、あなたも最初の一歩を踏み出そう!

 

 

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