
万華鏡を覗くように不思議な宵山の出来事『宵山万華鏡』森見登美彦
私は幼い頃、万華鏡というものを心底奇妙で不可思議なものだと思っておりました。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
私は幼い頃、万華鏡というものを心底奇妙で不可思議なものだと思っておりました。
我々人類の作り上げた文明とやらが脆くも崩れ去ってしまったのも、もう数年前になります。
私は悲鳴を上げる侍女をどこか他人事のように眺めていた。その手から私の食事となるべきだったものが床に散らばった。
私の親は少し特殊な家業をしている。先祖から何代も続いてきた由緒正しい家業である。
私は扇風機の前にその身を横たえた。棒付きのアイスをシャリシャリかじりながら、畳の静かな香りを嗅ぐ。
彼は人間愛に溢れた人物である。人間賛歌を主義として掲げ、嫌いな人間であっても手を差し伸べる好人物であった。
「俺は将来、偉大な小説家になるべき男なのだ」
ぼやけた視界の中でディスプレイに映されたエクセルの画面が曲がって歪む。打ち込まれていく数字がまるで襲い来るかのようだった。
私はここ最近、気になる子がいる。
「我らが世界を支配する日も近いな」 「もちろんでございます、我が君」