西洋とアラビアンの入り混じるファンタジー『アブダラと空飛ぶ絨毯』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
子どもの頃、私は絨毯の上にずっと座っていた。いつか、空が飛べると信じていたから。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
子どもの頃、私は絨毯の上にずっと座っていた。いつか、空が飛べると信じていたから。
私が子どもの頃のことだ。たった一度だけ、私は小さなその存在を見たことがある。今もまだ、はっきりと思い出せるのだ。
ある日、突然お婆ちゃんになってしまったら、どんな気持ちになるんだろう。『魔法使いハウルと火の悪魔』を読んだ後、私が思ったのはそんなことだ...
前後に揺れるロッキングチェアに腰かけた老人は、穏やかな寝息を立てて眠り込んでいる。彼のかけられたひざ掛けの上には、一冊の本が置かれていた...
手にずしりと響く紙束の重みが心地よく、仄かに泳ぐインクの香りを胸いっぱいに吸い込むと、私はまるで、天にも昇るような気持ちになるのです。
朝起きて、身支度をし、働いて、帰宅して、家事をして、眠る。毎日同じように繰り返される日々。
「君は、『ゲド戦記』を知っているかね?」
僕は、どうしても忘れられない物語があった。思い出すのは、燃え盛る木の杭と、オレンジ色の髪。つぎはぎの顔。
老人は、その一冊の本を殊更厳かに開いた。彼は知っていたからだ。その物語こそが、彼の敬愛するアーサー王の最後の一冊なのだと。
老人は一冊の本を手に取る。彼は少し悲しげな表情をした。その物語を読む時、老人の胸にはいつも、過去を思い出すような切なさが溢れるのだ。