新感覚の歴史教育書『アニメで読む世界史』藤川隆男
『世界名作劇場』で、『フランダースの犬』のアニメを見たことがある。今より何年も昔のことだ。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
『世界名作劇場』で、『フランダースの犬』のアニメを見たことがある。今より何年も昔のことだ。
空が見える。空はどこまでも広がっている。海は空を映したのだという。だが、僕は逆だと思う。空が海を映しているのだ、と。
道端を少し上ったところの、木が生い茂った中に、小さな祠がぽつんと建っている。私はそこから見下ろしていた。
学生の頃から、私は歴史がどうにも苦手だった。特に、世界史となると、もうさっぱりわからない。
「かーごーめー、かーごーめー、かーごのなーかのとーりーはー」
善とは何か。悪とは何か。俺はずっと、そのことを考えていた。憎悪の顔で俺を見上げる民衆どもを見下ろして。
今朝、私の隣りで夢を語っていた青年が、今は、地に倒れ伏したまま、ぴくりとも動かない。
目を閉じると、オラショの声が聞こえるような気がした。暗闇の中で浮かび上がる自らの信じる者に向かって、祈りを捧げる人々の声が。
私は愛国者です。僕がそう言った時、教室の空気が凍りついたような気がした。
ああ、終わったのだ。あの頃の私は、ただ茫然と空を見上げていたように思う。あの瞬間、長かった戦いは終わった。私たちは負けたのだ。