FODMAPの低い食事を!『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません』江田証


 今日も、やつが来る。ぐるぐるという唸り声。締め付けるような痛み。額から脂汗が伝い落ちる。痛い。痛い。腹が、痛い。

 

 

 私は昔から胃腸が弱かった。よくお腹を壊しては、トイレに駆け込んでいた。子どもの頃は、よくそれのせいで恥ずかしい思いをしたものだ。しかし、それだけではない。

 

 

 学生時代から、その胃腸の弱さは本格的に私の人生を妨害するようになっていた。大切な時に限って、いつもやつは訪れるのだ。

 

 

 私はストレスに弱く、心理的な重圧が腹の具合に直結していた。大事なテストの日に朝からトイレに籠るのなんていつものことで、学校で予習なんてできなかった。

 

 

 仕事でも、その苦しみは続く。期限が迫っている時や上司に怒られている時、やつが来るのだ。雷鳴のような足音が、聞こえる。

 

 

 私も手をこまねいていたわけではない。何度も治そうと努力はしてきた。胃腸に良いと言われているヨーグルトを毎日のように食べるようになったのは、ほんの小さい頃のことだ。

 

 

 それでも、私の胃腸は良くならなかった。それどころか、年を増すにつれて悪化しているようにも思える。

 

 

 縛られるような痛みを感じるたびに思う。ああ、頼む、頼む、誰か、誰でもいい。誰かこの苦しみから私を開放してくれ。

 

 

 そう願っていた時、私はその本と出会ったのだ。『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません』。

 

 

 私はその本のサブタイトルに視線を引かれた。『世界が認めたおなかの弱い人の食べ方・治し方』と書かれているではないか。

 

 

 これは、私のための本だ。私がそう思ったのも無理はない話だろう。逡巡に時間はかからなかった。

 

 

 しかし、それにしては不可解なタイトルである。『食べてはいけない』と言われている食品は、特に腸に良くないとは言われていない。それどころか、いいとすら言われているはずなのに。

 

 

 私はどきどきしながらその本をめくった。

 

 

 作者の江田証という先生は、「作家」としての先生であると同時に「医者」としての先生でもあるらしい。

 

 

 医者の本らしく、専門用語は多い。しかし、図解でわかりやすく説明されていて、それほど難しいとも思わずにするすると進んでいった。

 

 

 どうやら、その本は「FODMAP」という物質を減らす、ということを中心に提唱しているようだ。

 

 

 「FODMAP」とは何か。それは、小腸で吸収されにくい糖類のことを指す。それが大腸まで残ることが、腹痛の原因になっている、と。

 

 

 私が何よりも衝撃的だったのは、「テレビや健康本の言うことを聞いていては良くなるどころか、悪化する」ということだ。

 

 

 曰く、それらは腸が弱い人のためのものではないのだ、と。つまり、腸が弱い人にはまた別の対処療法があるということだ。

 

 

 それこそ、この本に書かれている「低FODMAP食事法」。FODMAPが高い食品を避けることで、栄養を確保しつつ腸にFODMAPを溜めない食事法だ。

 

 

 私が昔から食べてきたパンはいけない。そして、腸に弱いとされるヨーグルトも乳糖が入っていて食べるべきではない。

 

 

 驚きの事実だった。私が今まで何気なく食べていた食事、それこそが、私の腸を破壊していたというのだから。

 

 

 変えなければ。私がずっと続けてきた、食事を。変えなければ、私の腸はずっと弱いままだ。

 

 

 社長から業績が下がっていると注意をされた。すべてが腹痛のせいとは言わないが、腹痛のためであることの自覚はある。

 

 

 できるだろうか。いや、やるのだ。やらなければ他に誰がやるのか。何事も行動しないと、結果はいつまでも出てこない。

 

 

 何年か経った頃、私の腹痛はどうなった。少なくとも、ここ数年の間、雷を聞いていない、とだけ、お答えしよう。

 

 

おなかが弱い人のための食事

 

 この本は、おなかの調子が良くなくて、悩んでいる人のための本です。ガスが多く、おなかが張り、毎日苦しんでいるあなたの本です。

 

 

 日本人はおなかの不調な人が多い民族です。この本の内容を実践すれば、長い間悩んできたおなかの不調が改善します。

 

 

 きっと、あなたはこれまでアドバイスを受け、健康署などから多くのことを学んで、いくつか努力をしてきたはずです。しかし、それでよくなりましたか?

 

 

 たくさんの「腸の健康法」の本が出ているにもかかわらず、これだけ調子が優れずに食事法について疑問や不信感を抱いている人が多いのはなぜでしょうか?

 

 

 それは、その腸を整える健康法、じつは「間違っている」からです。

 

 

 間違っているだけならいざ知らず、その健康法のために、あなたの腸の調子はかえって悪化し、傷つけられているかもしれないのです。

 

 

 実際のところ、腸の健康法は、正しい方法を日本の医者そのものがまだよく知らないのが実情なのです。それは、医者自身がおなかの不調は心理的なものが大きいと信じており、食事法を軽視してきたからです。

 

 

 実は、おなかの調子が優れない人にとって、腸には「四つの敵」がいます。ですから、この四つと距離をとり、疎遠になることが大切なのです。

 

 

 欧米では、この食事法はまず第一に選択する「治療法」とみなされています。ぜひ、この新しいグローバルスタンダードな食事法を学び、人生を楽しいものにしてください。

 

 

 日本人の、かよわき腸を持った人々へ捧げます。腸が整えば、好きなことに集中でき、自分が本来持っている力を発揮できます。きっと素晴らしい人生が開けてくるでしょう。

 

 

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