著作権とは「著作物から生まれる利益を保証する権利」のことである。それはあなたの懐を満たしてくれる、まさしく現代の錬金術だ。
と言っても、僕は少し前まで、著作権のことなんて何もわかっていなかった。それどころか、存在を知りつつも関係ないものとして考えてすらいたのである。
現代はネット社会だ。小説も、音楽も、絵画も、ネットの社会には素材としていくつもころがっている。僕はそのひとつを借用させてもらうだけ、と。
言うなれば、重いものだとは少しも考えていなかった。それが犯罪に当たるとも考えていなかった。だから、自分から知ろうともしなかったのである。
その考えを改めたのは、とある一冊の本を読んだことがきっかけだった。矢間治茂先生の『著作権錬金術』という作品である。
どうしてそれを読もうかと思ったのかと言うと、「錬金術」という言葉に惹かれたのだ。当時はお金に困っていて、金策に対しては貪欲に知識を集めようとしていた。
その本で初めて、「著作権」というものを明確に意識した。そして、著作権とはお金を稼ぐための錬金術になり得ると同時に、安易に考えてはいけない危険なものという認識を改めたのである。
著作が奪われる。それは、創作者にとっては我が子を奪われるに等しい行為だ。だからこそ、ルールに寛容な小説であっても、唯一、他者の作品の「模倣」は禁忌とされている。
頭の中にあるアイディアや発想。それを財産として権利を持たせたのが、「著作権」の本質だ。改めて考えると、その発想そのものが成立したことが驚くべきことだろう。
なにせ、個々人の頭の中にあるそれは、実際には持ち物ではない。絵画も音楽も文学も、芸術の発展はかつて「模倣」が根底にあった。
だが、今はそれは許されない。頭の中にあるアイディアが「作品」として形を得た途端、そこには著作権が生まれる。
作者が優れた有名人でなければならないわけじゃない。どんな人であっても、自分が生み出した作品ならば、それは著作権を持つ。作り出されたその瞬間から。
この本を読んで、気が付いたことはある。それは、僕が著作権に対して避け続けた理由であり、恐怖と呼んでもいいその根底にあるものの正体だった。
僕はとあるブログを書いている。読んだ本をストーリー仕立てで紹介するというブログだ。その中で、小説の冒頭を引用している箇所がある。
だが、果たして、これは著作権を侵害しているのだろうか。それがわからなかった。そして同時に、怖くて堪らなかったのだ。
そのまま引用しているわけではない。状況によっては文章を削ったり要約したりしている。だが、それこそ、「他人の作品の改竄」というさらに罪深いことをしているようにも思える。
自分のしていることは、許されることか。それとも、罪か。その恐怖が常にあった。その真相を知ることが恐ろしい。だから僕は避けてきたのだ。心優しい本の著者たちに見逃されて。
でも、もう逃げられない。知らずに罪を犯すことと、知っていて罪を犯すこと。悪いのはどちらか、明らかだ。今まで軽視していたからこそ、今は牙を向いて襲い掛かってくる。知らないふりは、もうできない。
著作権の判断基準はどこか曖昧で、どこまでが違反でどこまでが違反じゃないか、そのことが本からはいまいち掴み取れなかった。
僕はもう知ってしまっている。ならば、自分を守るためには、ただ学ぶしかない。どこが著作権のボーダーラインなのか。どうすれば、著作権の違反に対処できるのか。
著作権。それは魅力的な宝でもあり、悪魔の持つパンドラの箱でもある。だが、それは決して忌むべきものじゃない。誰の頭の中にもある「あなた自身の発想」を、守ってくれるためにあるのだ。
著作権とは
あなたの心の中には、知的財産という無限の宝が眠っています。本書はそれを発掘し、皆さんと共に流通させるために執筆しました。
皆さんの中には、知的財産なんて私には難しいと思っておられる方もいらっしゃるでしょう。けれども、著作権は難しいものではありません。
今、著作権、著作権と盛んに言われています。しかし、著作権は今に始まったものではありません。およそ百年余りの歴史があります。
それではなぜ、著作権がこれほどまでに注目されているのでしょうか。それは、インターネットが普及したからです。すなわち、一億総クリエーター・総ユーザーの時代となったからです。
著作権は知的財産権の一翼を担っています。これらのうち、もっとも庶民の味方となるのが著作権です。著作権は、登録に高額なお金がかかるということはありません。なぜなら、著作権は著作物の完成によって自動的に発生するからです。
ただし、なんでもかんでも著作権でいけるという訳ではありません。それと、これは私の著作権だと言うためには確定日付を取る創作の年月日を明らかにする必要があります。
そして、著作権を金儲けに結びつけるためには、ホームページに掲載するなどして、その流通を図らなければなりません。その具体的方法は? それは、この本を読み終わった時、あなたは自然に理解されるでしょう。
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