十年目の集大成『夜行』森見登美彦
私はぼんやりと頬杖をついて、窓の外を眺めた。この列車は、いつまで走り続けるのだろう。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
私はぼんやりと頬杖をついて、窓の外を眺めた。この列車は、いつまで走り続けるのだろう。
父親、というのは、いったいどんなものなんだろう。それは、僕が子どもの頃からずっと疑問に思い続けていたことだった。
子どもの頃、お気に入りのぬいぐるみがあった。かわいいクマのぬいぐるみ。私は名前を付けて、いつも抱きしめていた。
今まで私は忠実な犬であり続けた。しかし、一度だけ、私は国に嘘を吐いたことがある。この書は、私の罪の吐露と認めてくれて構わない。
暗闇の中でテレビを見ていた。カーテンの外から聞こえる近所のおばさんたちの声が、私のことを囁いているように聞こえた。
この世界はシステムでできている。私たちはその世界を回す歯車のひとつとして、ただ無心に仕事だけをこなしていればいい。
蛇は泳ぐ。友人が自慢げに語るその豆知識を、私は聞くよりもずっと前から知っていた。けれど、どこから知ったのだろう。
かつて、私は『ピーター・パン』の世界に憧れたことがある。夜、大人が寝静まった頃に、ピーター・パンが迎えに来てくれないかとドキドキしながら...
深水黎一郎先生の『最後のトリック』を初めて読んだ時の衝撃は、計り知れないものであった。それはまさしく、未だ見たことがないミステリだったの...
私はかつて、罪を犯しました。決して許されない、許されてはいけない罪です。けれど、私は裁かれることなく、この時まで生きてきました。