生きていくことは、ままならないことばかり『キラキラ共和国』小川糸
生きていくってことは大変よ。ままならないことばっかりなんだもの。ふと、そんな言葉が脳裏によぎる。誰の言葉だったっけ。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
生きていくってことは大変よ。ままならないことばっかりなんだもの。ふと、そんな言葉が脳裏によぎる。誰の言葉だったっけ。
スーパーに並んでいる肉を、私は見下ろした。ふと、思う。よく考えてみれば、私はこの『肉』というものの正体を、何も知らないのだ。
先日、部屋を掃除していると、懐かしいものを見つけた。可愛らしい模様のレターセット。胸の中に、思い出が再生されていく。
出来上がった料理を、フライパンから皿の上に盛り付けていく。完成したその料理を見て、私はそっと微笑んだ。
一定のリズムで刻まれる蹄の音。照りつける太陽に項を焼かれ、私は額から滑り落ちる汗を手綱を握った袖で拭った。
蜂蜜のような明かりがカーテンの隙間から入り込む音楽室で、目を閉じてピアノを弾く彼女の姿を、ぼくは惚けたような表情で眺めていた。
私は幽霊の存在なんて信じていない。あんなのは、ただの、生きている残された人たちの心が生み出した妄想に過ぎない。
私はその本を手に取る前、そんなに怖くないだろうと思っていた。たかがストーカーなんて。怪物でも幽霊でもなく、所詮は人間じゃないか、と。
芥川賞受賞。その言葉に惹かれて、その本を手に取った。初めて読んだ時のことは今でも覚えている。あれは、そう、嫌悪だろうか。
カビの生えたパンを齧る。腹が空腹を訴えた。黙れ、今月はこれで最後だ。俺はそう言って腹を殴る。痛い。痛い。誰のせいだ。