一日一日を、大切に生きる『ライオンのおやつ』小川糸
死ぬということについて考えたことは、誰しもあると思う。私が初めてそのことを考えるようになったのは、中学生の頃だった。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
死ぬということについて考えたことは、誰しもあると思う。私が初めてそのことを考えるようになったのは、中学生の頃だった。
何が本当で、何が嘘か、わからない。これはきっと夢。それとも、現実なのかな。真実は、いったいどこにある?
私は正義の味方に憧れて、警察官になった。しかし、私たちの敵が犯罪者だけでないことを知ったのは、大人になってからのことだ。
それは熱狂だった。まさしく、文字通りの。それは大きなうねりとなって、国ひとつを巨大な怪物のように呑み込んだかのように見えた。
自分の鼓動が大きく聞こえる。ぞっとするほど寒く、それなのに汗ばんでいる。いやだ。この先を見たくない。そう思うのに、私の目は文字を追いかけ...
私は幼い頃、家が嫌いだった。お化けが連れていってくれればいいのに。暗くなってきた公園で、私はいつも、そんなことを考えていた。
あの瞬間のことを、今でも夢に見る。目が覚めた時はいつも汗で濡れていて、サイレンの音を、遠くに聞くのだ。
自分の見た目が嫌いだった。全身鏡を見るたびにため息を吐く。鏡に映る私の姿は、まるでドラム缶のよう。
大人は子どもを良い方へと導こうとする。けれど、子どもは意外と賢くて、大人が思っているよりもずっと、いろんなことをわかっている。
ああ、どうして。どうしてだろう。喜びの思い出は日が経つにつれて薄れて消えていくのに、幼い頃に感じたあの恐怖だけは、いつまで経っても忘れる...