なぜだ。どうして。俺は睨むようにパソコンの画面を見つめた。そこには、俺が毎日書いているブログが映し出されている。
ブログを書き始めてから二年の月日が経とうとしていた。文章を書くのにも、最初の頃と比べると随分と慣れた。
だが、不満なことがある。それは、ブログの閲覧者数が一向に伸びないことだった。
SNSで流れていくメッセージを見ていると、同じようにブログを書いている人たちの華々しい成果報告が毎日のように呟かれている。
中には、ほんの二か月やそこらで凄まじい成果を出している人もいる。俺のブログなんて、未だに蕾をつけることすらできていないというのに。
もちろん、最初と比べると、結構な人数の人たちが見てくれている。ツイッターでやり取りを続けている人もいる。
俺が今も続けることができているのは、彼らがいてくれているからだろう。さもなくば、とっくにやめていたに違いない。
だが、だからこそ、もっと良い文章を書きたいという思いがあった。俺のブログが見られていないのは、きっと俺の文章そのものに理由がある。
そう思って、俺は勉強をしようと決めた。さっそく近所の図書館に行って、何冊かの本を見繕ってくる。
まず読んでみたのは、志鎌真奈美先生の『いますぐはじめるWeb文章の書き方入門教室』という本だ。
その本の最初の時点で、俺は思いきりぶん殴られたような気分になった。思わず自分の文章を思い浮かべてしまう。
Web文章とは、伝えるためにある。その本はまず、そのことを述べていた。そうだ、その通りだ。
俺も最初の頃は、そのことを意識していたはずだった。読んでくれている人たちにわかりやすいように、と。
しかし、いつしか、続けていくうちに、文章を書くことが惰性となり、俺は文章を書く上でのもっとも大切なことを、すっかり忘れてしまっていたのだ。
伝えるための文章という言葉通り、その本は要点がしっかりと押さえられていて、とてもわかりやすく書かれていた。この本そのものが文章のお手本なのだといってもいいくらいだ。
かといって堅苦しいわけでもなく、かわいい絵柄のマンガが間に挟まっていて、親しみすら感じられる。随所に飽きられず、かつ理解しやすくするような工夫が施されていた。
それはまさしく入門書だ。文章を今まで書いたことがない人からすれば、この本は何よりも基本を押さえることができる一冊だろう。
そしてそれは、俺にもありがたかった。俺は二年間ブログを続けているが、ほとんど我流で書き続けている。つまり、Web文章の基本については素人も同然なのだ。
昔から、文章を書くことには自信があった。大学のサークルで小説を書いたことも、何度かある。文章が上手いと褒められることは幾度かあった。
だが、だからこそ、思い上がっていたのかもしれない。俺の目を覚まさせてくれたのは、この本の、「紙の本とWeb文章は違う」ということだった。
紙の本には紙の本の書き方が、Web文章にはWeb文章の書き方がある。それらは同じ文章であっても、見せる方法がまったく違う。
つまり、紙の本の書き方を学んだだけでは、伝えるためのWeb文章は書けない。より良い文章を書くには、Web文章を学ばなければいけない。俺は、Web文章において、まったくの素人である。
読めば読むほど、俺のブログがどうして読まれないのか、その理由を突き付けられた。
悔しくはあった。だがそれ以上に、もっと学ばなければという意欲が湧いてくる。読者に喜んでもらう。学べば、それができるようになるのだ。
これは入門書。あくまでも入り口でしかない。Web文章を学ぶスタートに、俺はようやく立つことができたのだ。道は、まだまだこれから始まる。
Web文章の入門書
私たちは普段の生活の中の、さまざまな場面で「文字」と遭遇します。これらの文字や文章は、何のために存在するのでしょう?
その答えは、「何かを伝えるため」です。
文字や文章は身近な伝達手段のひとつです。現在は「Web」というメディアで文章に接する機会が増えています。
しかし残念ながら、「伝えたいことを、きちんと伝えることができている」Webサイトは、それほど多くはないのが現状です。
その原因のひとつは、「文章」にあります。せっかく時間をかけて文章を書くのであれば、「伝わる文章」の方が断然よいですね。
本書は、主にビジネスを目的としてWebサイトを運営している方を対象にした、Web文章の書き方の解説本です。
「紙」ではなく、「Web」というメディアに特化した内容に絞っています。Webに掲載する文章を書くのであれば、こうした「Webならでは」の特性を理解したうえで文章を書くことが重要です。
しかし、単に「文字」を並べていけばよいというわけではなく、「伝えたいことが伝わる」文章が書けるようになり、その結果、読み手が行動を起こしてくれることを目的としています。
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