文章で人を動かす『人を操る禁断の文章術』DaiGo


人を思い通りに操ることができたら。社会に出て、そんなことを思うことが増えた。もちろん、そんな魔法みたいなこと、できるわけないのだけれど。

 

そういえば、いつだったか、テレビで「メンタリスト」なるものを見た覚えがある。DaiGoという人だった。その時期には、どの番組を見ても彼が映っていたような気さえする。彼は、自分の技術のことを「メンタリズム」と呼んでいた。

 

それは不思議なものだった。カードの絵柄をぴたりと命中させたり、ゲストの人が描く絵をそのまま当てたり。当時の私は、いつもワクワクしながらテレビを観ていた。

 

メンタリストは要するに、マジシャンと似たようなものかな、と思っていたけれど、DaiGoさんは違うと言っていた。調べてみたら、マジシャンはエンターテイナーであり、観客を楽しませることに主軸を置いている。

 

対してメンタリストは、いうなれば技術者だ。メンタリズムとは心理を利用して人を動かす技術であり、ショーではない。むしろ日常でこそ活きる技術だ。マジックのように見えるのは、単に、DaiGoさんがエンタメとして昇華させたからに過ぎない。

 

そして、技術ということは、マジックのようなショーとしてではなく、日常の技術として誰でも身につけることができる、ということになる。それを知って、私は「自分もその技術が欲しい」と思って調べてみることにした。

 

そうして見つけたのが、まさにメンタリズムを知ったきっかけであるDaiGoさんその人が書いた本。『人を操る禁断の文章術』というタイトルだった。

 

テレビで観たメンタリズムは、言葉と表情、しぐさ。それらを利用して人を思い通りに動かしていた。対して、この本には、文章によって思い通りに人を動かす手段が記されている。

 

最初、私はそんなことはできないだろうと考えていた。文章には、実際に対面した時の情報よりも圧倒的に少ない。人を動かすには足りないんじゃないかと思っていたのだ。

 

でもその本を読んでみると、なんと逆なのだという。文章はむしろ、短い方がいい。情報を極限まで削ぎ落した後の、力の強いひと言こそが人を動かすのだ、と。

 

まるで語りかけてくるように書かれているから、スッと頭に入ってくる。それに具体的な例がいくつも挙げられているおかげでとてもわかりやすい一冊だった。

 

表情もしぐさもない文章。しかし、そこには会話にはない強みがあるのだという。会話にしかできない操り方があるのなら、文章にできない操り方もあるのだ。

 

ただ、読んでいくうちに、ふと、疑問に思ったことがある。私は『人を操る禁断の文章術』を読んでいるわけだけれど、いわばこの本自体も文章だ。

 

それなら、もしや、今こうして私が思っていること自体、操られているのだろうか。いや、むしろ、この本を読んでいること自体が、私が操られた結果なのかもしれない。

 

『人を操る禁断の文章術』というタイトルに、私自身が気付かないうちにも操られているかもしれないのだ。そう考えると、少し怖くなる。

 

なるほど、これはたしかに禁断かもしれない。人を操るというのは、つまりはこういうことなのだろう。でも同時に、自分ができると考えたなら、それはたまらなく魅力的な技術だった。

 

文章によって、人を操る。自分の思い通りに人を動かす。それができるようになれば、可能性は大きく広がるだろう。そしてそれは、決して非現実な魔法なんかじゃなく、誰でも身につけることができるのだ。

 

 

相手を思うまま行動させる

 

「あなたの思う、世界最高の美女とは?」

 

この1行を読んだ時、あなたはどんな顔を思い浮かべたでしょうか? このたった1行の文章を読むと、思う人こそ違ても、いずれの場合も誰もが「自分の思う絶対的な美女」を思い浮かべます。

 

実はこれこそ、文章の持っている力なのです。ある言葉を目にすることで、人は想像し始めます。誰もが納得の美女を作り出すには、文章を使って想像させるしかない。つまり、世界最高の美女をつくれるのは文章だけなのです。

 

私たちは文章に散りばめられた言葉に反応し、頭の中にあるイメージを膨らませ、対象について想像し始めます。そして、そのイメージは、時に行動を引き起こす原動力となります。これが、文章に秘められた「人の心を動かす力」の正体なのです。

 

文章はただ書くのではなく、読んだ相手の心を動かし、想像力を使ってもらうために書くのです。

 

文章によって読み手が想像力の翼を広げてくれると、あなたにとってとてもいいことが起こります。想像してワクワクすることで、閉じていた相手の心の扉が開き、行動を起こす準備を整えた状態になるのです。

 

読む→言葉に反応する→想像する→行動を起こす

 

会話の持つ力を遥かに超えるもうひとつの力が、文章にはあります。文章は一度、書いてしまえば半永久的に働いてくれるのです。

 

表現、構成、長さ、説得力、こういったものを文章では見直すことができるので、読んだ相手のリアクションを見て、文面を改善することも可能です。

 

読み手の想像力を刺激して、感情を揺さぶり、行動を誘導する文章術。本書は、相手を思うままに行動させたい人のための本です。

 

 

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