好きなことを仕事にする『ひとりビジネスのはじめ方』吉田英樹


「いい大学に行って、いい会社に入りなさい」それが、母の口癖だった。それが僕の幸せなのだと。僕もずっと、そう信じてきた。今までは。

 

その本と出会ったのは、僕が会社を辞めてすぐのことだった。その本のタイトルは、『ひとりビジネスのはじめ方』という。ウェブマーケティングを軸とする会社の社長でもある吉田英樹先生の著書だ。

 

幼い頃から、母の目標は僕をいい大学に行かせ、いい企業に就職させることだった。それが僕の幸せなのだと母は言っていたし、僕もそれを信じた。

 

ひたむきに勉強を続け、大学に入学した。大学でも勉強を続けながら、卒業論文も就職活動も順調にこなしてきた。とうとう有数の大企業からの内定をもらった時、母は泣いて喜んでくれた。

 

だが、僕の人生が順調に進んだのは、そこまでだった。今にして思えば、「会社に入ること」が幸せだと信じてきた僕は、入社した後のことについては何も考えていなかったのだろう。

 

結論から言うと、僕は会社を辞めることになった。社員としての僕はいなくなって、生まれて初めて何にも所属していない、「ただの僕」になったのだ。

 

入社した当初は順調にこなせていた仕事が、次第にできなくなっていったのはいつからだったろう。気が付けば、僕は笑えなくなっていた。

 

会社の雰囲気や、上司や、仕事に対して、僕の精神や身体が追い付かなくなっていったのだ。周りからの評価は下がり、それがプレッシャーになってさらにミスが重なる。悪循環。

 

いつも憂鬱で、どうすれば仕事から逃れることができるか、そればかり考えていた。自ら命を絶つことさえも、このまま仕事を続けるよりは幸せなのだとすら感じた。臆病だったから、それすらもできなかったのだけれど。

 

退社したい旨を上司に伝えたのは、僕の人生の中でもっとも大きな決断だった。相談した友人にも家族にも、退社は強く反対されていた。自分の意思を優先させたのは初めてのことだった。

 

さっきまで勤めていた会社を去った時、僕の心には何の不安もなかった。ただ、枷から解放されたような軽さがあっただけだった。

 

しかし、仕事を失くした僕の身には、当然、次第に生活という危機が迫ってくる。新しい仕事を探そうと動くことはできなかった。前の会社での精神的な苦痛が、働くことに対する恐怖感を僕の胸中に植え付けていたのだ。

 

『ひとりビジネスのはじめ方』と出会ったのは、そんな時だった。どうにかしなければと求人情報を探しに行った際、立ち寄った本屋にその本はあった。

 

以前の会社での僕の悩みは、社内での人間関係が起因だった。そのせいか、僕の目には「ひとり」という単語がいやに眩しく見えたのだ。

 

「好きなことをして仕事をする」

 

その本の前書きに書かれていたその言葉に、僕は衝撃を受けた。母とはまるで違う仕事の選び方。何度となくそれが可能ならばと望み、「どうせできない」と最初から諦めていた、その選択。

 

今までは暗闇で見えなかったその道が、今初めて、その本によって僕の前に照らされたような気がした。

 

そうか、企業に所属しなければ生きていけないわけじゃない。入社しないという選択肢もあるのだ。そうすれば、上司の指示も、会社のやり方も、人間関係も関係なく、自分の好きなようにできる。

 

ずっと暗澹としていた僕の心に、一筋の光が差したような気がした。僕はもう、企業で働くことはしたくない。なら、自分で企業をつくればいいのだ。僕だけの会社を。

 

今まで僕が歩いてきた道は、しっかりとコンクリートで舗装されたきれいな道だった。そこは母が通れと言った道だ。この道の先に、幸せがあるのだと。幼い僕の目から見ると、その道はいかにも整っていて、歩きやすそうだったのだ。

 

しかし今、新しく僕の前に開けたそれは、もはや道であるかどうかもわからない。先があるかもわからないし、どこに辿り着くかもわからない。

 

危険なことだってあるだろう。思いもよらない事故が起こることだってあるかもしれない。だが、そこには冒険がある。

 

誰も踏みしめていないそこに、道を敷くのは自分なのだ。自分こそが、その道を歩く最初のひとりになる。誰からも指示を受けない、孤独な、自分だけの道。

 

その先に待ち受けているのが、果たして幸せか、不幸か。僕にはわからない。けれど、その道を行くと決めた僕の口元には、たしかに微かな笑みが浮かんでいた。

 

 

才能を活かす仕事を

 

世の中には、数多くの仕事があります。大企業から中小企業まで、会社規模もさまざまです。日本全国から日本以外の国まで、働く場所もさまざまです。

 

仕事は、相手が仕事をしたことにお金を支払ってくれれば成り立ちます。

 

あなたの好きなことが仕事になったら? あなたが好きな仕事を喜んでくれる人がいたら? あなたの仕事で他の人の役に立ったら? こんなに幸せなことはないですよね。

 

才能を活かして仕事をして、楽しく充実した人生を送る人たちとともに過ごしていきたい。これが、私が本書を描こうと思った理由です。あなたの好きなことが仕事になりますように。少しでも気付きを得られたら幸いです。

 

 

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