兄弟喧嘩の末路『黒冷水』羽田圭介
僕には兄がいる。二歳ほど年上の兄だ。もう長い間、僕と兄との間に会話はない。僕は兄のことが、たまらなく嫌いだった。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
僕には兄がいる。二歳ほど年上の兄だ。もう長い間、僕と兄との間に会話はない。僕は兄のことが、たまらなく嫌いだった。
蜂蜜のような明かりがカーテンの隙間から入り込む音楽室で、目を閉じてピアノを弾く彼女の姿を、ぼくは惚けたような表情で眺めていた。
男ってホントにバカだと思う。いつまでも子どもみたいなことして、くだらないことで笑って。でも、それがどこか眩しく見える。
青春は果てがない。果てがない世界を、私たちは目指すところも知らずただ歩くしかないのだ。私たちは誰もが、ただの迷える子羊に過ぎない。
何度も、何度も、悲劇は繰り返されてきた。これが運命だというのなら、なんて残酷なのだろう。
信号もない、穏やかな田舎町。都会の人からしてみれば、のどかな風景だと思うだろう。しかし、その影には得体の知れない何かが潜む。
子どもを育てることに、昔から憧れていた。でも、憧れと現実が違うということを知ったのは、夢が叶ってすぐのことだった。
人類のために戦え。もしも、そう言われたなら、僕はいったい、どうするだろうか。
誰もが私のことをバカだと言った。そんなことは絶対に無理だと。けれど、絶対に無理だと言っていたことがもしもできたなら、それはとてもおもしろ...
ある朝、私が目を覚ますと、見覚えのない部屋にいた。自分の身体を見下ろして驚く。