鍵は「コメント力」と「情報力」『コメントする力』竹田圭吾
スマホを手に、私は固まっていた。うーん、と考えて、指が少し動いては、また文字を消す。さっきから、その繰り返し。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
スマホを手に、私は固まっていた。うーん、と考えて、指が少し動いては、また文字を消す。さっきから、その繰り返し。
彼は努力家だ。自分の苦手を克服するために力を尽くし、指示されたことは忠実にこなす。私は、彼以上に真面目な人間を見たことがない。
ああ、忙しい、忙しい。効率よくするにはどうすればいいか。どうすれば、もっと時間を節約することができるだろうか。
何をしても上手くいかない。違う、違う、そんなはずはない。こんな簡単なこと、自分はたしかにできていたはずなのに。今はもう、どうすればいいの...
思わずため息が零れる。足が重い。どこか頭痛もする。自分の身体が疲れていることを、私は自覚していた。かといって、仕事をしないわけにはいかな...
『「できること」が増えるより、「楽しめること」が増えるのが、いい人生』
「どうしてお前はこんな簡単なことができないんだ!」
わかっている。わかってはいるんだ。彼らが言っていることは、正しいことなんだってことくらい。けれど、世の中が正しいことだけじゃあ、あまりに...
あとでやろう。今はちょっと、忙しいし。まとまった時間にまたやろう。そうしてまた僕は、先送りにした。
いつからだろう。爪を噛む癖ができた。かりかり。かりかり。気が付けば、私はいつも爪を噛んでいる。