記憶の断片が真実を映し出す『最後の記憶』綾辻行人
ああ、どうして。どうしてだろう。喜びの思い出は日が経つにつれて薄れて消えていくのに、幼い頃に感じたあの恐怖だけは、いつまで経っても忘れる...
ああ、どうして。どうしてだろう。喜びの思い出は日が経つにつれて薄れて消えていくのに、幼い頃に感じたあの恐怖だけは、いつまで経っても忘れる...
こんなものがあるから。ぼくは自分の手の中にある紙切れを握り締める。描かれた偉人の顔がくしゃくしゃに潰れた。
女子高は花園だといいます。まさしくその通り。誰もが自分こそがもっとも美しく咲こうと狙っています。その隠し持った棘で葉を切り裂き、根を絡ま...
スクリーンの向こう側で、仕事で成功した主人公が喜んでいる。大団円、ハッピーエンド。でも、それは所詮ドラマでしかないのだ。
ようするに、誰でもよかったのだ。それが真実かどうかは関係がない。真実でなくても、選ばれた時点で、それを世間が真実にするのだから。
変わりたい。何度もそう思っては、挫折してきた。もっと時間があれば。もっと余裕があれば。言い訳の言葉は、壁にぶつかって消えていくだけ。
その少年の顔を見て、私はぞっと背筋を震わせた。その無機的なガラスの瞳は、虚ろなまま、ただ私を見つめている。
私は途方に暮れて立ち尽くしていた。私の手の中にある羅針盤の針は、くるくると回るだけで、どこも指示してはくれない。
世界が終わった。でも、たとえ世界が終わっても、私は良かったと思う。だって、そのおかげで、私は彼といっしょになれたのだから。
『バカの壁』。その言葉は当時の私に衝撃を与えた。まるで囚われたかのように、その言葉は私の脳裏に焼き付いていたのだ。