彼との出会いが全ての始まりだった『天使の鼓動』望月麻衣
スマホの液晶に書かれている文章を目で追っていく。もう何度も読んだはずなのに、まるで初めて読んだ時のように胸がどきどきする。
スマホの液晶に書かれている文章を目で追っていく。もう何度も読んだはずなのに、まるで初めて読んだ時のように胸がどきどきする。
「なあなあ、太陽って冷たいんだってよ!」
会いたい。その手紙に触れた時、私の心に流れ込んできた想いの奔流は、私を彼の思い出へと押し流していく。
「人から嫌われたくないんです」
大学を卒業して就職した時、俺は会社でも上手くやれるだろうと思っていた。それがまさか、こんなことになるとは、夢にも思っていなかったのだ。
ああ、どうしよう。どうしたものか。私は頭を抱えた。胸の中で最悪の想像がいくつもぐるぐる回っている。
激しい咳が聞こえる。息できないと叫びたくても叫べない、そんなことすら思わせる咳に、思わず閉ざす扉を開けて駆け寄りたくなってくる。
未知の生物が襲ってくるとしたら、どこから現れるだろうか。宇宙から、あるいは、海底から、か。
ああ、面倒くさい。不意に、心の中にそんな思いが湧き上がる。そのことに、私はひとりで恐怖した。
「あなたが犠牲になれば、世界が救われます」