奇妙な遺言の謎『元彼の遺言状』新川帆立
金さえあればなんでもできる。私は昔からそう信じていた。お金で買えないものはたくさんある、なんてよく言うけれど、ただのきれいごとだ。世の中は...
金さえあればなんでもできる。私は昔からそう信じていた。お金で買えないものはたくさんある、なんてよく言うけれど、ただのきれいごとだ。世の中は...
雑談ができない。仕事上での会話は滞りなくできるのに、雑談になると、途端に口が回らなくなってしまう。そんな自分を変えたくて、僕は、本に頼って...
テレビで報道された凶悪な事件。ツイッターでは、犯人の親に対して痛烈な批判の声が呟かれ続けている。俺はそれを、苦々しい思いで見つめていた。俺...
その本には、美しい表紙が描かれておりました。淡いタッチで描かれた愛らしい二人の少女。ですが、どうしてでしょうか、どこか不穏な雰囲気も秘めら...
「この本、読んでみて。おすすめだよ」そう言って会社の上司が勧めてきたのは、一冊の本だった。タイトルには、こう書かれている。『フィンランド豊...
僕は何のために頑張っているんだろう。仕事でくたびれた身体を引きずりながら帰っている途中、ふと、そんなことを思った。
親子ってなぁ、どうにも鼻持ちならねぇ関係よな。切ろうとしても切れやしねぇ。憎んでいるそいつの名前が俺の背中にずっとついてきて回るのさ。まる...
一日の仕事は掃除から始まる。タイムカードを切り、掃除、パソコンに届いているメールを確認し、必要ならば返信していく。机の上に溜まっている書類...
テスカトリポカ。「煙を吐く鏡」という意味を持つ、アステカの神のひとり。アステカ文明を研究対象に選んだ僕は、その実態を知るために、専門書の他...
私は「平成」生まれである。祖父母や、他の多くの大人たちが、日本の素晴らしさを称えているのを聞きながら、ずっと疑問に思っていた。こんな国の、...