かわいい恋愛ファンタジー『陽だまりの彼女』越谷オサム
彼女は幼馴染だった。幼稚園の頃から同じクラスで、小学校、中学校といっしょだった。
彼女は幼馴染だった。幼稚園の頃から同じクラスで、小学校、中学校といっしょだった。
1969年。かつて、活力溢れるこの年は、果たしてどんな出来事が起こったのだろうか。
「なあなあ、これって絶対UFOだよ、なあ!」
四畳半には無限の可能性が秘められている。その真実を教えてくれたのは、森見登美彦氏の『四畳半神話大系』であった。私はその本に倣い、自らの魂を高めるべく、社会とのつながりを断ち、四畳半に引きこもることで研鑽の日々を送ることに決めたのである。
「暴力はいつだって悪いのか」
四畳半での修業は過酷を極めた。こと人間の本能である恋愛への渇望、男としての欲望は如何ともしがたいものがあった。そこで私は自らを慰めるべく恋愛小説の『夜は短し歩けよ乙女』を拝読することによって甘い恋愛の世界の中へと身を委ねんと考えたのである。
大きな窓を大粒の雨が勢いよく叩いている。薄暗い夜陰のベールと雨に覆われている外には、かすかに車のタイヤが見えた。
世の中には、まだまだ私の知らないたくさんのことがある。私は目の前をよちよちと歩いているペンギンを見てそう思った。
彼は残酷な男だった。
私は疲れた身体を引きずって帰路についていた。雨上がりの水たまりに映る私の顔はまるで幽鬼のように顔色が悪い。