夢を叶えたいなら、頑張って勉強しなさい。幼い頃、私の母はそう言って私の頭を撫でた。
私の夢はお金持ちになることだった。お金持ちになるためにはどうすればいいか。そんなことを、ずっと考えていた。
というのも、家が貧乏だったからだ。父も母も必死に働いて、けれど、お金は全然貯まらなかった。
父と母が生活のために頑張っているのは知っていた。だからこそ、二人に楽をさせてあげたかったのだ。
「お金持ちになりたいなら、いい会社で働かないとね。そのためには、勉強を頑張らないといけないのよ」
母はそう言った。なるほど、そうなのか。幼い頃の私は決意した。だったら、いい会社に入ろう、と。
調べてみると、いい大学に入るためには東大に行くのが一番いいらしい。というわけで、私の当面の目標は東大に行くことになった。
友達の誘いも断って、ただ一心不乱に勉強した。先生の話を真面目に聞いてノートに取り、復習も毎日欠かさなかった。
そして時が流れ、合格発表当日。合格者の名前を見て、私は自分の番号の髪を握り締めたまま、茫然と突っ立っていた。
何度も見返した。けれど、私の番号はなかった。隣りの男子が手を挙げて喜びの声を上げる。私は、泣くことすらもできなかった。
わかっていた。努力してきたにもかかわらず、私の成績は芳しくなかった。模試を受けた時の結果は、絶望的。その評価はつまり、正しかったわけだ。
父も母も先生も、私を慰めてくれた。もうひとつレベルの低い大学に入ることを提案したり来年再挑戦すればいいと言われたりした。
けれど、私にはもう、その気力は残されていなかった。それはほんの一、二年ではない。私の人生をかけた努力の結果だったのだから。
努力すれば夢は叶う。母のその言葉が私の全てだった。その言葉があったからこそ、他の人から何を言われても、私は私の成功を疑うことすらなかった。
けれど、夢に破れた今、その言葉は崩れ去り、私の全てが失われたのだ。燃え尽きて、灰になった私は、全ての気力を失くし、色のない毎日を過ごした。
別の大学への進学も、就職も考えることができず、卒業してからの私は何もしない生活をただ送っていた。
しかし、今まで脇目も振らず勉強してきた私は、時間を潰す手段がわからず、卒業したことであり余った時間をどう使えばいいかわからなかった。
迷った末に、図書館に行ってみることにした。読書は先生からもよく勧められていた趣味だ。時間がない、として教科書以外の本に手を出してはいなかったけれど。
何を読もうかと探していると、ふと、一冊の本に目を奪われた。それは『「頑張らない」で引き寄せる!』という本だった。
手に取って、見てみる。どうやら、成功を手に入れるための本らしい。興味を覚えて、そのページを開いてみた。
しかし、そこに書かれていた言葉を見て、私は大いに混乱してしまった。
『頑張りすぎなくても、努力しなくても、夢は叶います』。
私は愕然とした。私が今まで信じてきたこととまるで逆ではないか。
母とこの本、どちらが正しいのか。もちろん、私は母が正しいと言いたかった。「こんな本は間違っている!」と叫びたかった。
しかし、受験に落ちた時のことが頭によぎる。十数年の努力が、夢には届いていなかったと知った時の、言いようの知れない虚無感。
母の言葉を信じて私は努力し、青春を犠牲にしてまで挑んだ末に叶わなかった。すでに母の言葉は、違っていたのだ。
この本を、信じてみるのもありなのではないか。東大しか目指していなかった今までの自分を変えるチャンスではないのか。変わらなければいけないのではないのか。
そもそも、私の夢は何だったか。東大に行くためだろうか。いや、違う。では、いい会社に入るためか。いいや、それも違う。
お金持ちになりたい。お金持ちになって、父や母に楽をさせてあげたい。私が目指していた東大や会社はそのための通過点に過ぎなかった。
しかし、いつの間にか、私の夢は東大の合格にすり替わっていたのだ。目指す場所を、間違えていた。
私の夢はお金持ちになること。そのためには、東大の合格やいい会社に入ることだけが手段ではない。他にも手段はあるのだ。
努力をやめよう。私は今まで頑張ってきた。だから、これからは頑張らないことにしよう。
努力は大切だ。ただ、それだけではないのだ。努力をやめて、立ち止まってみないと、見えない風景もある。
道を必死に走っているだけでは、遠く見えるかもしれない。ただ、立ち止まって、ふと横を見てみれば、夢は意外とすぐ近くに見えることだってある。
大切なのは、夢を叶えた自分を見ることだ。それは、自分の未来の姿を見ることになるのだから。
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