雑談ができない。仕事上での会話は滞りなくできるのに、雑談になると、途端に口が回らなくなってしまう。そんな自分を変えたくて、僕は、本に頼ってみることにした。
出版されている本の中には、いくつも、雑談を主題にした本がある。中でも目を引いたのは『雑談力』というタイトルだ。どうして目を引いたかというと、なんだか似たようなのがたくさんあったからである。
まず手に取ってみたのは、メンタリストDaiGoさんの『超トーク力』。言葉と動作で巧みに相手の心を操るメンタリズムという技術を会得している著者なのだから、雑談もかなりのものだろうと見た。というか、見たことがある名前だったから思わず手に取ったのだ。
内容はわかりやすく、読みやすかった。なにより、あのDaiGoさんも昔は雑談が苦手だったと知って共感できた。でも、なんだか期待していたようなのとは違う気がする。僕は次の本に移った。
次は百田尚樹先生の『雑談力』だ。百田先生は作家である。一見、雑談が苦手そうだけど、実は雑談がとても上手な人であるらしい。
読んでみると、雑談のコツというよりかは、雑談で使える具体的な話題が多く書かれていた。「おお……」と思わず納得してしまうような雑学もあり、とても勉強にはなったけれど、やっぱり求めていたものとは違う。
ならば、次のはどうだろうか。タイトルは『超一流の雑談力』。安田正先生の本だ。なんて言ったって「超一流」。そこらの「雑談力」とはわけが違うはずだ。
という意気込みを無理やりにかけたけれど、正直、僕はもうあまり期待していなかった。期待した二冊がどちらもぴんと来なかったから、もう半ば諦めていたのだ。読んでみようとしているのも、意地に近い。
けれど、その予想はいい意味で覆された。最初の前書きを少し読んだあたりから、「おや、なんだか今までとは違うな」というぼんやりとした感覚を、胸中に感じていたのである。
雑談のコツや、相手を不快にさせてしまう会話の仕方、しぐさ、話を続けさせるための方法などは、DaiGoさんの内容をもう少し詰めたような感じ。具体的な例は少ない。
DaiGoさんほど寄り添ってくれるわけでもなく、百田先生みたいに具体的な雑談のタネを教えてくれるわけでもない。それなのに、その本の言葉はすっと頭の中に入ってきた。
僕はようやく察する。なるほど、これが、これこそが超一流の「雑談力」か。気が付けば、相手の話を聞きたいと思っている。次のページをめくる手が止まらない。
この本を読めば、僕は変わることができる！ そんな確信があった。さっそく実践してみよう。その決意を秘めて、僕はその本を食い入るように熟読した。
雑談の力
雑談とは、意味のないムダ話をすることではありません。雑談とは本来、人間関係や仕事の質を根本から変えてくれる魔法のようなメソッドなのです。
皆さんの中には、雑談をすることに「価値がない」「わずらわしい」「嫌だ」と思っている方もいるでしょう。「人見知り」「人に好かれにくい」「どうしても苦手なタイプがいる」と悩んでいる方もいらっしゃると思います。
そんな方にこそ、雑談のレベルを高めることによって起きる、そのすさまじい効果をぜひ知っていただきたいと思います。雑談は、コミュニケーションという枠を超えて、人生全体に大きなよい影響を及ぼしてくれます。
「おはようございます」「いつもありがとうございます」「よろしくお願いします」など、一言交わしただけなのに、好印象を抱かざるを得ない言葉の使い方や物腰。
この技術こそが本書でお伝えしたい雑談力の神髄であり、世の中で一流と呼ばれる人が当たり前のように身に着けているスキルなのです。
仕事の場面はもちろん、プライベートのさまざまな場面でも自分をより魅力的に見せたり、短時間で人の心の中にふっと入っていく方法。これが、本書でお伝えしたい「超一流の雑談力」です。
雑談力を上げるには、身体的な能力や特別な才能は必要ありません。誰でも同じようにトレーニングすることができる。しかも、社会生活を営む上で欠かすことのできない、他のどんなことよりも使う場面が多いスキルです。
一流と呼ばれる人は、「生まれてからずっと一流」なのではなく、一流になるべく自分を磨いてきたのです。人前できちんと話せる、人と上手にコミュニケーションがとれるというのは、進んでトレーニングをしたからこその結果なのです。
雑談というのは、あらゆる人間関係の入り口です。自分という人間を認めてもらい、その後の関係をより深く、強いものにするためのきっかけであり、人間関係の方向性を決定する重要なステージになります。
本書では、雑談力を高めるテクニックについて、数々の実践例から確実に効果のあった方法を取り上げ、誰でも日常に取り入れられるように、具体的なアクションや指標に落とし込んでまとめました。
みなさんの仕事やプライベート、人生が、コミュニケーションの取り方ひとつで変わることを感じていただけたら、これほど嬉しいことはありません。
みなさんが本来持っている魅力を人に理解してもらえるようになり、いきいきとご活躍をされることを、心よりお祈り申し上げます。
 | 価格:1,518円 |
関連
話し方の技術は特殊な才能ではなく、科学である。つまり、誰でもすぐに実践することができるのだ。人の心を動かす話し方を身に着けることで、他者の心を巧みに操作しよう。
会話で心を操りたい貴方様におすすめの作品でございます。
 | 超トーク力 心を操る話し方の科学 [ メンタリストDaiGo ] 価格:1,540円 |
雑談で大切なのは「ストーリー」である。それさえ踏まえていれば、多くの人と話すときでも、あなたの会話は人を引き付けるだろう。ストーリーで楽しませてこそ、雑談のプロだ。
雑談が上手くなりたい貴方様におすすめの作品でございます。
 | 雑談力 ストーリーで人を楽しませる （PHP新書） [ 百田尚樹 ] 価格:858円 |
