爽快な気持ちになれる奇妙な中華料理店『薬菜飯店』筒井康隆
健康になりたいと、多くの人は言う。健康法なんてものはもう、飽きるほどに生まれては消えているが、何よりも忘れてはならない。我々は口から食した...
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
健康になりたいと、多くの人は言う。健康法なんてものはもう、飽きるほどに生まれては消えているが、何よりも忘れてはならない。我々は口から食した...
耳から入ってきた音に、思わず眠りから覚めた。目をつぶったまま、音に意識を傾ける。車の音が、まるで間近を走っているかのようにうるさかった。し...
何も疑うことなく、全ての人、全ての存在を愛し、嘘を吐かず正直者で、無欲であり、まるで赤子のように純粋な人間がもしもいたとするのなら、君はそ...
「その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」その言葉を読んだ時、私の心のどこかが震えたような気がした。
目の前にそびえ立っている、高い高い本棚。その背表紙を目で追っていくと、ふと、一冊の本が目に入った。私は手を伸ばして、その本を、本と本の隙間...
推理小説において、もっとも恐ろしいことは何か。それは、死者が蘇ることである。その瞬間、探偵がこねくり回す理屈も、事件現場に残された謎も、全...
廃墟というものは、どうしてこんなにも心を惹きつけるのだろう。穴が開いて空が覗く天井を見上げる。どことなく湧きあがる寂寥感と、世界に自分しか...
子どもの頃、妖怪がたくさん描かれた絵本を夢中で読み耽っていたことがある。みんなが夢中になったアニメや特撮なんかよりも、それを読んでいた時の...
二〇二一年もすでにあと二か月で終わりを迎えようとしている。あっという間に過ぎていったような気がする。令和になって三年が過ぎ、四年目には、何...
この広い日本で、居場所をなくした人は何人いるのだろう。無数の人が互いの顔も見ないまま、ただの風景として通り過ぎていく雑踏の中で、僕はぼんや...