妖と人との間を甘い絆で繋いでいく『かまどの嫁』紫はなな
「ん~、ほっぺた落ちそうやあ。相変わらずあんたはとろいくせにお菓子作りだけは逸品よなあ」
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
「ん~、ほっぺた落ちそうやあ。相変わらずあんたはとろいくせにお菓子作りだけは逸品よなあ」
私はここ最近、気になる子がいる。
「我らが世界を支配する日も近いな」 「もちろんでございます、我が君」
彼は口下手な人でした。いつも眉間にしわを寄せたしかめっ面をして、不機嫌そうな態度をしていました。
桜の花が舞う季節、私はこれから通うことになる学校の校門をくぐった。緊張と、それ以上の未来への高揚が私の胸を躍らせていた。
「よい働きであった」 玉座に腰かける我が君の恐れ多い言葉に、私は平伏する。
「なあ、学校にさ、もしも悪党が入ってきたら、どうする?」
「ねぇ! 今日もいつもの話の続きが聞きたい!」
「ねえ、差別ってどうしてなくならないの?」
彼は英雄だった。彼がいなかったら、今頃、この国はもうすでになかっただろう。 彼が鍛錬している姿を見たことがある。その頃はまだ、...