ただの会社員で終わらないために『死ぬこと以外かすり傷』箕輪厚介


 『死ぬこと以外かすり傷』。凄まじい言葉だ。思わず手に取ったのは、その言葉の力に引き寄せられたからかもしれない。

 

 

 箕輪厚介先生は編集者である。双葉社から幻冬舎へと移り、編集者として多くの作品を世に出してきたヒットメーカーだ。

 

 

 幻冬舎といえば、『読書という荒野』の著者である見城徹先生が立ち上げた、文芸界の風雲児だ。あの会社には怪物しかいないのか。

 

 

 箕輪厚介先生は、その怪物のひとりである。少なくとも、『死ぬこと以外かすり傷』を読んだ私は、そんな感想を抱いた。

 

 

 「普通の」サラリーマンからひとつ飛び抜けた生き方。その鮮烈な花火のような熱意が、彼を時代の先駆者に押し上げた。

 

 

 無謀に見えて、そうではない。むしろ、今後の時代の姿を明確に見据えて、そのうえで行動している。

 

 

 本を読んでいくうちに、私の冷たい胸に、忘れていたような熱が灯り始めた。社会の歯車になって以来、すっかり忘れていた懐かしい感触。

 

 

 「いい大学に入れば、優良な大企業には入れて、安定した幸せな人生が送れる」と、誰もが言ってきた。

 

 

 私はそれを信じ、大学を卒業し、サラリーマンになった。給料は多いし、そうそうやめさせられることもない。なるほど、私はたしかに安定した生活を手に入れた。

 

 

「それで? 本当に、僕は幸せなのかな?」

 

 

 幼い頃の私が、働く私の背中に問いかける。その声は、『死ぬこと以外かすり傷』を読んで以来、それまでよりも大きくなった。

 

 

 彼は、幼い頃の私は、たしか、小説家になりたかったはずだ。物語が好きで、いつしか、自分でも書きたいと思うようになった。

 

 

「小説家なんて夢見てないで、もっと現実を見なさい」

 

 

 私の夢は結局、そんな世間の声に負けた。けれど、夢を諦めて手に入れた安定は、はたして幸せと呼べるのか。

 

 

 そう、そうだ。言えない。そんなのは、わかりきっている。私はずっと、目を反らしてきただけじゃないか。

 

 

 会社員の安定は、はたして人生のゴールか。いや、違う。そこはまだ、ただの踏み台に過ぎない。

 

 

 夢があるのなら、そして、それが叶っていないのなら、人生の全ては、夢を叶えるための踏み台だ。

 

 

 時代は変わる。これまでの生き方では駄目なのだと、今では多くの人が気付き始めた。

 

 

 明日生きることを考えていて、果たしてそれが熱狂と呼べるのか。私もまた、冷たい歯車から、熱を持った人間にならないといけない。

 

 

 時代に生きるのではなく、時代を作る。そんなこと、夢にも思わなかった。けれど、それは誰であっても、決して不可能なことじゃないのだ。

 

 

変化を楽しめ!

 

 編集者になって4年。ものすごい勢いで駆け抜けてきた。一瞬の爆発のような怒涛の日々だった。

 

 

 双葉社、幻冬舎と二つの会社で編集者をやり、2017年はビジネス書レーベル「NewsPicks Book」を立ち上げ、編集長になった。

 

 

 毎月1冊出すという地獄のような日々を過ごし、創刊1年で累計100万部という数字を作ることができた。ヒットメーカーだとか最先端の編集者だとか紹介されることもある。

 

 

 しかし、もともと僕は努力型でもエリート思考の持ち主でもない。大学生時代は1秒も勉強していなかったと思う。双葉社に就職してからもダメサラリーマンの典型のような日々を過ごしていた。

 

 

 何かが変わったのは、編集者という仕事をやるようになってからだ。与沢翼という男に引き寄せられ、『ネオヒルズ・ジャパン』という雑誌の編集長になった。

 

 

 僕はよく「ここ数年で一気にブレイクした」と言われるが、それは編集者にハマったからだ。

 

 

 編集者は最強だと感じる3つの理由がある。1つ目は「才能カクテルが飲み放題だから」、2つ目は「ストーリーを作れるということ」、3つ目は「人の感情に対する嗅覚を磨けるということ」。

 

 

 編集者の根本は遊びのように仕事を、仕事のように遊びをやるということだ。ただ熱狂し、狂う。自分の好きなものに情熱をもってひたすら入れ込んだ。

 

 

 自分が読者として絶対に読みたいと思うものを作る。面白い、面白くないかの基準なんてないんだから、偏愛でいい。

 

 

 また僕は、「箕輪編集室」というオンラインサロンを開設した。彼らはオンラインサロンで、「お金」を得るために働いていない。やりがいのために動いている。

 

 

 お金や物資を得ることよりも、高次な欲望を満たすために働いているのだ。もはや、遊びと仕事の区別はない。

 

 

 編集者として、サラリーマンとして、僕のスタイルは一般的ではない。異常だし、狂っているように見えるかもしれない。

 

 

 しかし、今の時代に狂っているということは、狂っても間違ってもいないという何よりの証拠だ。新しい時代はいつだって狂っている人間が作っていて、その未来が現実になってから、初めて理解される。

 

 

 すべてのルールが変わる中で強いのは、新しいことを受け入れ、変化を楽しめる人間だ。これからをどう生きるのか、この本で一緒に考えていきたい。

 

 

 早くこっちにくるといい。こっち側で間違いない。ルールは変わる。経験は邪魔だ。無知でいい。ごちゃごちゃ考える前に、動け。

 

 

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